9: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/01/04(木) 18:45:29.95 ID:R409ZOpN0
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二つ目と三つ目の気がかりは、同じ根を持っています。
そのひとつは、彼女が一本線を引いて他人と接している、と感じたことです。
私と白菊さんの関係は、決して悪くないと思います。
二人でレッスンすることも言葉を交わすことも増えて、正直あの時間一緒にダンスレッスンをしているメンパーの中では、私はもっとも白菊さんと会話する機会が多いと思います。
だけど、白菊さんは決して私的な話はしませんし、レッスンの後を私や誰かと過ごそうとすることはありません。
自主的にレッスンに打ち込む日が増えるにつれ、その傾向はより強まってきたようです。
決して誰かと協力することを拒むわけではありません。
ただ、まるである一点を超えて誰かと親しくなってはいけない、と自分に課しているように思えるのです。
―――もちろん、私達は友達になるためにここにいるのではありません。
私達は同期であるとともに競い合うライバルであり、場合によっては一つの座を争う敵ともなります。
決して誰かと慣れ合わない―――という姿勢は考えようによっては、正しいこと。
それが彼女の選んだ道であれば、全体の和を乱さない限りにおいて口出しするべきではないのかも知れません。
だけど、それなら。
彼女はあの時、どうしてあんなに寂しげだったのでしょう。
そして、最後の気がかり。
それは、私が参加する以前から白菊さんとレッスンを共にしていた子たちの多くが白菊さんを避けはじめている事でした。
その中には白菊さんと同期の子、同年代の子、白菊さんの気づきによって怪我を免れた子までが、含まれていました。
本人が線を引いているのですから、むしろそうなっていくことは当然とも思えます。
だけど、白菊さんを遠巻きにする子たちの表情を見るうちに、私は違和感を覚えます。
そこにあるのは不満でも、無視でも、敵意でもありません。
それは、恐れ。
そう、まるで彼女たちは、白菊さんを恐れているように見えたのです。
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