エンド・オブ・オオアライのようです
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452: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/06/12(火) 22:43:35.29 ID:PNClVgFK0
「シーサイドステーションよりCP、現有戦力の集結がやや遅れている!後方待機中の艦娘、或いはC.R.Rの派遣は可能か!?」

《CPよりシーサイドステーション、不可能だ!後方戦力はまだ割くことはできない!》

「ま、そうでしょうね………!」

要請の棄却は若干喰い気味ですらあったけれど、予想通りだったため落胆はない。

深海棲艦の艦載機は、既に相当数が涸沼や那珂川を越えて避難未完了区域の上空を脅かしつつある。下手に艦娘戦力や機甲部隊を割けば、押し寄せる航空隊の物量に対処しきれず民間人に大きな被害を出す恐れがある。

同様の理由から武器弾薬の補充も通らないだろう。今頃トラックもヘリも、詰めるだけの住民を詰めてのピストン輸送にかり出されている真っ最中の筈だ。

「一尉、CPの返答は!?」

「ベリーバッドね、却下されたわ!」

「そりゃそっスよね!!」

『ゴァッ────!?』

通信が終わるやいなや声をかけてきた大隈二曹も、結果は覚悟していたのかその返事は軽い。八つ当たりとばかりに放たれた砲撃は、ちょうど連装砲を起動しようと開かれたハ級の口の中に飛び込んだ。

『ガッ………』

一瞬の制止の後、グワラと巨大な音がしてハ級の胴体が七割ほど消し飛ぶ。成長途上のオタマジャクシを思わせる、巨体に対してあまりにも貧相な足がぱたりと力なく両脇に倒れる。

また1隻、敵艦が沈んだ。だけど、これで1号車の主砲残弾も9。眼前にひしめく───そして、一向に増強をやめない敵戦力と比較して、この9という数は0と大して意味合いが変わらない。

『ゴォアッ!!!』

「い、一尉!もう無理です、後退しましょう!!」

別方面から、お返しとばかりに深海棲艦の砲弾が飛来する。回避したヒトマルの10mばかり横でそれが炸裂すると同時に、ついに決壊した中内二曹が悲鳴に近い声で車内から私に向かって叫んだ。

「敵の物量は圧倒的、砲弾も人員も足りてません!このままだと被害は増える一方です!!

艦娘戦力が、大洗鎮守府が健在なうちに撤退しましょう!!反攻作戦なんて、この町の死守なんて最初から無理だったんですよ、被害を抑えて態勢を立て直した方が絶対にいいです!!」

「何言ってんだ!!大洗女子学園はどうなるんだよ!!」

「どうせみんな死んでるに決まってる!生きてるわけないじゃない!!それに私は死にたくないもん!こんなところで死にたくないもん!!」

「中内てめぇ!!」

再び恐慌状態に陥った挙げ句破れかぶれで喚きだした中内二曹に、大隈二曹がつかみかかる。砲手と操縦士が同時に職務放棄という事態に、全身から音を立てて血の気が引く。

「落ち着きなさい二人とも!!今は戦闘中────」

《────敵機、直上!》

2号車車長の叫び声に被さるように、空から聞こえてきた“ラッパ”の音。

「ぅあっ───!?」

押し寄せる轟音に、鼓膜がつかの間機能を失う。

吹き付ける爆風に、呼吸を奪われる。


次の瞬間、私の世界はヒトマル諸共逆さまにひっくり返った。


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