453: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/06/12(火) 23:44:31.95 ID:PNClVgFK0
……たまたまそのタイミングで強風でも吹いていたのか、対空砲火の回避のため敵機の軌道の方が逸れていたのか、原因については解らない。ともかく絶好の的であった筈の私達に、敵機の投下した爆弾は奇跡的に直撃しなかった。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!?」
それでも、当たり所がよければイージス艦でも一発轟沈せしめる爆弾が超至近距離で起爆したのだからただ無事で済むわけもない。火柱に煽られたヒトマルは乗っていた私ごと亀のようにひっくり返り、衝撃でぐしゃりと音を立てて砲塔が折れ曲がる。
「……………っつ」
完全にひっくり返る直前に車内に飛び込んだため頭を潰されることは避けたが、それでも車内をまるでピンボールのように跳ね回った身体は至る所が痛む。特に左足は、打ち所が悪かったのか微かに動かすだけでも軋むような鈍痛が走った。
とはいえ、致命的な怪我が見当たらないのは不幸中の幸いだ。
「………大隈二曹、中内二曹、生きてる!?生きてるなら返事をしなさい!」
ノハ;メ゚听)「大隈瞳二等陸曹、健在です!」
滅茶苦茶になって赤ランプが点滅する車内に声をかければ、足下で大隈二曹が手を上げる。額の傷から血が滲んでいるが、彼女も大きな怪我はなさそうね。
ハソメ − リ「うぅ……」
序でに、彼女の腕の中には羽交い締めにされるような形で中内二曹が抱かれている。彼女も気を失ってはいるが、見た限り十分に無事と言える範疇だ。
車内の惨状を考えれば奇跡と言って差し支えないレベルだけれど、喜びを分かち合っている暇はない。
「中内二曹はどこかに挟まったりしてない!?」
ノハメ゚听)「今まさに運転席の中に挟まってたのを引っ張り出したところっス!あっ、一尉これを!」
「ありがとう!急いで脱出するわよ!」
大隈二曹から89式小銃を受け取り、腹ばいに。焦る気持ちを抑え、横転や倒壊による下敷きを避けるため努めてゆっくりと外に這い出る。
「一尉!」
「蝶野一尉、他の二人も無事で!」
全身を引っ張り出すと同時に小銃を構えて周囲の状況を確認すれば、ちょうど私達の方に駆け寄ってくる一団があった。私と、私に続いて車外に這い出てくる両二曹を見て全員が安堵の表情を浮かべていた。
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