60: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2017/12/30(土) 17:10:30.26 ID:8F8qoQQF0
「乃々ちゃんならできます」
トレーナーさんはじっと私を見たあと、ため息をついた。
「最後に決めるのはおまえたちだ。だがはっきり言おう。私はやめておいたほうがいいと思っている。それにもうじきプロデューサー殿が戻ってくるんだろう? 一度相談してからでも遅くはあるまい」
ズキンと心臓が痛くなった。
プロデューサーさん。
大好きな響きのはずなのに、いまはその言葉を聞くだけで胸が苦しくなる。
あの日以降、プロデューサーさんのお見舞いには行けていなかった。
行けばプロデューサーさんにも、あの女の人にもきっと迷惑になっちゃうから。
もしこれが少女漫画だったなら。
あの女の人は彼女なんかじゃなくってお姉さんだったりして、なんだまゆの勘違いだったんですね、ってハッピーエンドになってもいいのに。
「俺の婚約者だ」
現実はそんなことなくて。
気まずそうに隣にいる女性を紹介するプロデューサーさんの顔が、いまだに頭から離れない。
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