曜「クリスマスツリーは綺麗ですか?雪は降っていますか?」
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32:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:48:56.29 ID:Bd0JRqI80
電車を使って県外へと移動する最中、善子は曜に行先を説明する。善子の立てたプランはまず、楽団のコンサートに行くことだった。
「それなら楽しめる…でしょ?」
恐る恐る言う善子に曜は口元を綻ばせ嬉しそうに頷いてみせた。


以下略 AAS



33:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:51:16.36 ID:Bd0JRqI80
辺りが真っ暗になる時刻、二人は自宅がある沼津駅へと帰って来た。帰りの電車から二人の間には沈黙が流れ、話し始めても一言二言で終わりまた静寂が流れる…そんな様子だった。その無言の時は別れの刻が近いことを示していた


最後に行きたいところがある。曜は言葉を零した。善子は行先を訪ねる。耳を貸すようジェスチャーし、内緒話を打ち明ける子供のごとく小さな声で曜は願いを囁く。それを聞いた善子は一時、目を丸くした。

以下略 AAS



34:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:51:51.19 ID:Bd0JRqI80
夜の更けた商店街は誰もおらず無人だった。二人だけの世界は一層冷たく感じられた。

それは並び立つ店群の吹き抜けになった一角にそびえ立っていた。
おびただしい数のオーナメントで彩られピカピカと光り輝く電飾を纏っている、取り付けられてるのは町の子供手製の飾りだろうか。街の中心に設置されたクリスマスツリーは錆び付いた商店街には不釣り合いな、巨大な輝きを放っていた。

以下略 AAS



35:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:53:28.01 ID:Bd0JRqI80

「善子ちゃん、クリスマスツリーは綺麗?」

「…ええ、とっても綺麗よ」

以下略 AAS



36:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:54:45.68 ID:Bd0JRqI80
柔らかな温もりがが痛みを注ぐ。不意に川岸での事が思い起こされて、善子の瞳に大粒の涙が零れた。
曜の安らかさ、悲壮さを思わせる微笑みに、涙してしまう。それでも、善子は、自らの涙の理由を上手く理解できないでいた。

嗚咽交じりに泣き腫らし、遂にはしゃがみこんでしまう善子。右手は曜と繋いだままで使えず、左手で涙を拭う。


37:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:55:35.50 ID:Bd0JRqI80
「…善子ちゃんの手、温かい」
曜は小さく呟くと、善子と同じように脚を折りしゃがんだ。善子の空いていた左手を探し当て、自分の右の手で握る。善子の体を伝い腕、肩、?へと探るように手を這わせる。
「頬っぺた、ちょっと濡れてる」
両手を善子の?に当て、愛おしそうに撫でる。いつもは大概のスキンシップを振り払う善子も、されるがままだった。

以下略 AAS



38:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:56:58.03 ID:Bd0JRqI80





以下略 AAS



39:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:57:55.21 ID:Bd0JRqI80


「………後ろからマネキンみたいに体を動かして貰ってそれで覚えるよ。果南ちゃん、お願いできるかな?」


以下略 AAS



40:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:59:38.95 ID:Bd0JRqI80
突如、鞠莉が手をぴしゃりと打ち皆の注目を集める。金の瞳を爛々と輝かせ号令をかけ始める。


「時間は無いわ!みんな頑張って仕上げるわよ〜!」

以下略 AAS



41:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 04:00:27.68 ID:Bd0JRqI80

ちら、と善子は曜を見る。いつもと変わらない、笑顔を絶やさない曜の姿がそこにはあった。

何となしに自分の手を眺める。掌は寒さで少し赤くなっていた。善子はほんの少し滲む目を拭うと呼ばれている皆の元へと足早に向かっていった。



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