曜「クリスマスツリーは綺麗ですか?雪は降っていますか?」
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26:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:43:42.66 ID:Bd0JRqI80
曜の胸ぐらを掴み、善子は振り回した。眉を釣り上げ、その端正な顔を歪めても曜には届かない。
善子は許せなかった、確かに続けたい、欠けたものがあったとしても今の生活を精一杯続けたい。曜にはそういう意思があると善子は信じて疑っていなかった。だからこそ精一杯のサポートをしてきた。
しかしその実は消極的、退廃に満ちた意思だったことに善子は強く、檄した。

「私は!あなたがまだやりたいから!続けたいからまだ頑張りたいから…ってそう思って…手助けしてきた…」
以下略 AAS



27:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:44:57.23 ID:Bd0JRqI80
曜の肩口に瞳押し当て泣きじゃくる善子。先に口を割ったのは曜だった。

「…今日梨子ちゃんがまた千歌ちゃんを叱ってたね、新曲の歌詞早くしてって」
「…それが」
「新曲が出来て新しい振り付けをみんなで作って、それが出来上がって練習しようってなったら…どうする?」
以下略 AAS



28:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:45:25.11 ID:Bd0JRqI80
渡辺曜は卑怯だった。それでも、純然たる事実だった。泣きじゃくる善子が落ち着いたのは川岸に座り始めてから一時間ほど経ってからのことだった。




以下略 AAS



29:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:46:08.15 ID:Bd0JRqI80



「私と、クリスマスにデートして下さい」

以下略 AAS



30:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:47:02.54 ID:Bd0JRqI80
時が流れ、クリスマス当日。師走らしい乾いた寒風が乾いたコンクリートへと吹きつけている。電線がしなり金属が撓み、唸る音が耳へと入って来た。

「おはよう」
「おはヨーソロ、善子ちゃん!今日は寒いね〜」
目に見えてわかるほどテンションの高い曜。いつになく上機嫌な事が見て取れた。
以下略 AAS



31:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:47:51.74 ID:Bd0JRqI80
「手、出して」
「…………うん!」

川沿いの堤防を駅へと向かって歩き出す。堤防は障害物が無く、一直線なので曜にとって都合がいい。歩道から連なる石の段では鳩が数羽、歩き回っていた。

以下略 AAS



32:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:48:56.29 ID:Bd0JRqI80
電車を使って県外へと移動する最中、善子は曜に行先を説明する。善子の立てたプランはまず、楽団のコンサートに行くことだった。
「それなら楽しめる…でしょ?」
恐る恐る言う善子に曜は口元を綻ばせ嬉しそうに頷いてみせた。


以下略 AAS



33:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:51:16.36 ID:Bd0JRqI80
辺りが真っ暗になる時刻、二人は自宅がある沼津駅へと帰って来た。帰りの電車から二人の間には沈黙が流れ、話し始めても一言二言で終わりまた静寂が流れる…そんな様子だった。その無言の時は別れの刻が近いことを示していた


最後に行きたいところがある。曜は言葉を零した。善子は行先を訪ねる。耳を貸すようジェスチャーし、内緒話を打ち明ける子供のごとく小さな声で曜は願いを囁く。それを聞いた善子は一時、目を丸くした。

以下略 AAS



34:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:51:51.19 ID:Bd0JRqI80
夜の更けた商店街は誰もおらず無人だった。二人だけの世界は一層冷たく感じられた。

それは並び立つ店群の吹き抜けになった一角にそびえ立っていた。
おびただしい数のオーナメントで彩られピカピカと光り輝く電飾を纏っている、取り付けられてるのは町の子供手製の飾りだろうか。街の中心に設置されたクリスマスツリーは錆び付いた商店街には不釣り合いな、巨大な輝きを放っていた。

以下略 AAS



35:名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:53:28.01 ID:Bd0JRqI80

「善子ちゃん、クリスマスツリーは綺麗?」

「…ええ、とっても綺麗よ」

以下略 AAS



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