曜「クリスマスツリーは綺麗ですか?雪は降っていますか?」
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:37:30.58 ID:Bd0JRqI80
陽の光が西へと遠のいて、果ての空を真っ赤に染め上げる。ぽつ、ぽつと立つ民家は等しく影絵のように黒く、沈んで見えた。曜と善子は二人で帰りのバスの最後尾に座っていた。
「今日は疲れたね〜」
少し大きめの声で呼びかける曜。それに対する善子の返事はか細い物だった。
以下略
AAS
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:39:00.36 ID:Bd0JRqI80
「……!」
突如目が覚める。急激に意識が戻り、神経が氷水を打ったように冷え切る、額に冷や汗が滲んでいく。眠りこけてしまった。普段ならドジで済むだろう。しかし曜が居る今は事情が違う。
取り急ぎバス前方の電光掲示板を急ぎ確認する、目的地である狩野川沿いのバス停には到着してないようで一先ず安心する。
以下略
AAS
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:39:33.53 ID:Bd0JRqI80
「よ、曜…!」
「なに、善子ちゃん?」
「何か、悩んでることとかない…?」
つい声が上ずってしまう。余計なことと分かっているのに、つい善子は聞いてしまった。つい触れてしまったのだ。
以下略
AAS
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:40:38.00 ID:Bd0JRqI80
陽の落ち切る手前、といった時分。二人は川岸に連なる階段をベンチに見立てて並んで座った。
善子は近場にある自動販売機でソーダ飲料を二本買い、一本を曜に渡す。受け取った曜は鞄を手探りで探ると財布を取り出し、善子に突きつけた。善子は黙って百円硬貨を一枚、財布から抜き取る。
甘味のわざとらしい炭酸飲料を一口飲み、藍に染まり始めた川の辺にて曜は語り始める。
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:41:38.39 ID:Bd0JRqI80
「私ね、事故に合ってから段々目が悪くなっていったの、視界が暗くなっていって…最終的には、失明しちゃった」
失明、と言う言葉を曜が使う事に善子は未だ慣れていなかった。
「最初は疲れてるからぼやけて見えるのかな?って思ってたけど、実際にこの目は…なにも見えない」
以下略
AAS
25
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:42:33.98 ID:Bd0JRqI80
「視界は無くなったけど目は潰れてない、大した顔じゃないけど幸いにも傷が無くてそのままだから…きっとスクールアイドルも頑張れば続けることが出来る」
「例えば、鞠莉ちゃんが、千歌ちゃんが、善子ちゃんが……他の誰でも。怪我をして、Aqoursを抜けるってなったら私は耐えられない、この活動を続けられるか自信がない」
「だからこのまま私が頑張って、いつも通りに学校に行って、今まで通りにスクールアイドルを続ければ…みんなにとっては何の変わりの無い…いつも通りの日常」
「私さえ頑張れば、そのまんまなんだって……そう思ったんだ」
以下略
AAS
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:43:42.66 ID:Bd0JRqI80
曜の胸ぐらを掴み、善子は振り回した。眉を釣り上げ、その端正な顔を歪めても曜には届かない。
善子は許せなかった、確かに続けたい、欠けたものがあったとしても今の生活を精一杯続けたい。曜にはそういう意思があると善子は信じて疑っていなかった。だからこそ精一杯のサポートをしてきた。
しかしその実は消極的、退廃に満ちた意思だったことに善子は強く、檄した。
「私は!あなたがまだやりたいから!続けたいからまだ頑張りたいから…ってそう思って…手助けしてきた…」
以下略
AAS
27
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:44:57.23 ID:Bd0JRqI80
曜の肩口に瞳押し当て泣きじゃくる善子。先に口を割ったのは曜だった。
「…今日梨子ちゃんがまた千歌ちゃんを叱ってたね、新曲の歌詞早くしてって」
「…それが」
「新曲が出来て新しい振り付けをみんなで作って、それが出来上がって練習しようってなったら…どうする?」
以下略
AAS
28
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:45:25.11 ID:Bd0JRqI80
渡辺曜は卑怯だった。それでも、純然たる事実だった。泣きじゃくる善子が落ち着いたのは川岸に座り始めてから一時間ほど経ってからのことだった。
以下略
AAS
29
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:46:08.15 ID:Bd0JRqI80
「私と、クリスマスにデートして下さい」
以下略
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30
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名無しNIPPER
2017/12/25(月) 03:47:02.54 ID:Bd0JRqI80
時が流れ、クリスマス当日。師走らしい乾いた寒風が乾いたコンクリートへと吹きつけている。電線がしなり金属が撓み、唸る音が耳へと入って来た。
「おはよう」
「おはヨーソロ、善子ちゃん!今日は寒いね〜」
目に見えてわかるほどテンションの高い曜。いつになく上機嫌な事が見て取れた。
以下略
AAS
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