【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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595:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:10:26.28 ID:IIOvQ4Oi0

…………………………

 生徒会の仲間であるゆうきの弟、ひかるは、口ぶりこそ意地悪だが、心根は優しい少年のようだった。はじめがラテを見つめていたことに気づく観察力、そして飲み物を交換するような行動力もある。そのあたり、ゆうきの弟らしいというか、なんというか。

 砂糖を入れたラテを口に含む。甘くて温かいラテが口の中に広がって、なんとも幸せな心地だ。

「……“何もかも完ぺきですごい生徒会長”か」

「はい?」

 口をついて出た言葉に、ひかるの目がこちらを向く。

「君のお姉さんが、私のことをそう言っていたのだろう?」

「まぁ……。あ、でも、可愛いところもあるとか、そんなことも言っていましたけどね」

「……可愛い。私からはとことん縁遠い言葉だな」

 ゆうきは一体、はじめのどんなところを見て、そんな感想を抱いたのだろうか。

「常々完ぺきでありたいとは思っているが、私もまだまだだな」

「息苦しそうな生き方をしてますね」

「何度も言うが、君に言われたくはない」

 ひかるの目が不満そうに歪む。

「ぼくはべつに、好きでやっていることですから。良い子でいたいと思うことは、悪いことではないでしょう?」

「私だって、無理しているつもりはない。完ぺきでありたいと願うのはまぎれもない私自身の意志によるものだ」

「そうですか」

 ひかるは興味なさそうに言うと、アイスティーのグラスを置いた。いつの間にか、グラスの中は氷を残し、空になっていた。

「あ……すまない。小学生をいつまでも付き合わせているわけにはいかないな」

 外に目を向けてみれば、住宅街は少し赤みを帯び始めている。暗くなるまではまだ猶予があるだろうが、いつまでも小学生が外を出歩いていていい時間ではない。はじめはラテを飲み干して、カップを置いた。

「そんなに急がなくてもいいと思いますけど」

「いや、小学生は暗くなる前に家に帰るべきだ。少なくとも、私には君にそう言う義務がある」

「どんな使命感ですか……」

 はじめは席を立つ――つもりだった。

 その瞬間、自分でもよく分からないことに、立ち上がることができなかった。

「あれ……?」

 腰を上げることができなくて、椅子に座ったまま、頭がふらつくことに気づく。座っている間は何も感じていなかったが、立ち上がろうと力を入れた瞬間に、ぐらりと視界が揺れたのだ。



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