【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/05/27(日) 10:09:59.90 ID:IIOvQ4Oi0
「君といると、どうも調子が狂うな」
はじめが口を開いた。
「私が背伸びをしているのを見透かされているようで」
「そんなつもりはないですけどね」
ひかるが応える。
「ぼくは逆ですよ。こんな素の自分、家族にも友達にも見せられないですから、気が楽です」
「君は、普段はどんな感じなんだい?」
はじめの問いかけに考える。普段の自分は、一体どんな様子だろうか。家での自分や、学校での自分はほとんど同じだ。物腰柔らかく、笑みを絶やさず、はきはきと喋るというよりは、ゆっくりと間延びして喋るように心がけている。それは少なくとも、今の自分――何も着飾らずいる自分とは全く違うものだろう。
「……少なくとも、こんなに毒々しくはないと思います」
「なるほど。たしかに君は、初対面の時はもう少しやわらかそうだったな」
はじめが笑う。それは、少なくともひかるには年相応のお姉さんの笑顔に見えた。
「私も、ある意味で気が楽なのだろうな。今ほどではないが、君のお姉さんの前でもついつい気を抜いてしまうことがある。君たち姉弟は不思議な特質を持っているのだね」
「なんですか、それ」
同じなのだろうか。
自分が、姉や友人の前で、ついつい“良い子の自分”を出してしまうことと。
目の前のお姉さんが、ついつい“しっかりした自分”を出してしまうことが。
「……雨に濡れているのに、やせ我慢をして、頑なに傘を受け取ろうとしなかったから」
「うん? なんだい?」
「騎馬さんがそんなだったから、意地悪したくなったんでしょうね」
「は……?」
はじめが目をぱちくりさせる。
「きっと、だからこんなに素でいられるんだと思います」
「……なるほど。本当に、良い性格をしているな、君は」
はじめが顔を引きつらせながら笑う。
「私も、君が生意気だから、ついムキになってしまうのだろうな。泰然余裕としている普段の私は、きっと素の私ではない」
はじめはそう言うと、シュガーポットを手に取った。角砂糖をひとつ、ラテの中に落とす。
「普段ならばコーヒーはブラック、紅茶はストレートでしか飲まないが、今はそう肩肘をはる必要はないね。苦いのは苦手だ」
「ぼくは、姉やクラスメイトからは甘い物大好きだと思われてますよ。本当はあまり得意じゃないですけどね」
言いながら、思う。昨日、雨の中、強がるはじめを見て、なぜあんなにイライラしたのか。自分の素を出してしまうくらい、はじめに当たったのか。
はじめを見て、自分の姿を重ねてしまったからだ。
良い自分を家でも学校でも演じ続けている自分と、重なったからだ。
「同族嫌悪、っていうのかな……」
「うん?」
「……いえ。なんでもないです」
そんなこと、わざわざはじめに言ってやる義理もない。ひかるはもう一度、グラスを呷った。
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