【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/02/04(日) 10:10:38.77 ID:KQnxmm/50
「はは、おもしろいことを言うね、大埜さん。大埜さんも生徒会長に立候補するんだろう?」
「あっ……」
めぐみが恥ずかしそうに顔を伏せる。
「それに、まだ立候補してはいないよ。この書類をまだ提出していないからね」
はじめがブレザーの懐から綺麗にたたまれた書類を取り出し、開いて見せてくれた。めぐみと同じ、生徒会長の立候補書類だ。
その一挙手一投足が妙に様になっている。内ポケットをこんなにスタイリッシュに扱える同級生を、ゆうきは知らない。ゆうきに至っては、内ポケットなんて使ったこともない。
「今から生徒会顧問の先生に提出しに行くつもりなんだ」
めぐみの書類とは違い、全ての項目がしっかりとうまっている。もちろん、推薦者の欄もしっかりと三人の名前がある。
「なら、どうしてここに?」
けれど、めぐみも負けていない。ゆうきの頼もしい相棒は、そんな相手に一歩も引かずまっすぐ目を見返している。
(……って、べつに戦ってるわけじゃないんだけど)
「いや、正式に立候補する前に一度挨拶をしておきたかったんだ。これから生徒会長の座を争う大埜めぐみさん、君に」
「……そう」
めぐみは強い。けれどその強さは、少しだけ脆い。
「私が立候補したことによって、立候補するつもりだった生徒たちが皆身を引いてしまったと聞いたんだ。だから、大埜さんが立候補してくれて良かった。私も、できることならしっかりと他の候補と票を争った上で生徒会長に臨みたいからね」
はじめの身体中から放たれる存在感。圧倒的な余裕。
今までの人生で、ゆうきにはおよびがつかないほどのことをしてきたのだろう、大人びた物言い。
すごいと思うまでもない。感覚が、身体が、目の前の同級生がただならぬ存在だと教えてくれている。
「え、ええ……」
ゆうきには分かる。めぐみがそんなはじめに圧倒されていることが。けれどそれを表には出さず、「がんばらなきゃ」とか「負けたくない」とか、そんな風に踏ん張っているのだ。それはめぐみの優しさで、強さだ。けれどゆうきは、そんなめぐみを助けたい。手伝いたい。
だから――、
「あっ……」
ぎゅっ、と。ゆうきはそっと、さりげなく、当たり前のことのように。
「……うん」
めぐみの手を取り、握って、頷いた。お互いの熱が巡る。少し汗ばんでいためぐみの手を通して、めぐみの心境を、ゆうきの心で中和する。
目線だけで意志疎通。申し訳ないような、けれど嬉しそうなめぐみの目を見ることができて、ゆうきはそれだけで嬉しい。
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