【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
1- 20
218:名無しNIPPER[saga]
2018/02/04(日) 10:11:17.90 ID:KQnxmm/50

「……私もがんばるから。だから、いい生徒会選挙にしましょう」

「ああ。よろしく頼む」

 めぐみはゆうきの手を離し、はじめが差し出した手を握る。

「私の推薦者には現生徒会長もいる。だから、みんな気後れして立候補を辞退してしまったんだが……とにかく、大埜さんが立候補してくれて、本当に嬉しいんだ。だから、大埜さんの言うとおり、いい生徒会選挙にしよう」

 聞きようによっては少し嫌味だったかもしれない。けれど、騎馬はじめという目の前の現生徒会副会長は、そんな成分を微塵も感じさせなかった。心の底からめぐみの立候補を嬉しく思っているのだろう。

「それでは、私はおいとまさせてもらう。昼休みの時間をとらせてしまって申し訳ない」

 去るときもやはり、どこまでも気品ある挙動で。

「またすぐ、選挙に関連する場で会おう」

「ええ。また今度」

 はじめはピシリと一礼すると、校舎内へと消えた。

「……ふはぁ、緊張したぁ」

 驚いたことに、そんな気の抜けた声をめぐみが発し、ベンチにぺたんと座り込んだ。

「すごいわね、あの騎馬さんって。なんか気後れしちゃったわ」

「で、でもでも! 大埜さんも負けてなかったよ! なんか、騎馬さんが王子様で、大埜さんがお姫様みたいだった! で、わたしはお姫様に付き従うみすぼらしい小姓!」

 興奮して思っていたことをそのまま口にして、気づく。

「……わたし、小姓……ははっ、どうせ、わたしは王子様はおろか、お姫様にもなれない、下賤の者……」

「お、王野さん? どうして自分の発言にダメージを受けてるの?」

「ふふ……わたしはどうせ、お姫様にはなれない冴えない女……ふふっ……ふふふ……」

「はいはい。勝手にしょぼくれないで。あなたにニヒルな笑いは似合わないわ」

 ひとりうなだれて屋上にのの字を書くゆうきを、めぐみがそっと立ち上がらせる。

「さっきはありがとう、王野さん。手を握ってくれて嬉しかったわ。また、あなたに勇気をもらっちゃったわね」

「……ううん。そう言ってくれるだけで嬉しいよ」

 騎馬はじめ。あの同級生はたしかに強敵だ。制服の着こなしから言葉遣い、行動や雰囲気を取っても生徒会長に相応しい。それに加えて、はじめには現生徒会長の推薦まであるのだ。

「ま、がんばるしかないわね。まずは……推薦者を誰かに頼まないと」

「そうだね……」

 まずは同じ土俵にたつところから、ふたりの戦いは始まる。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
647Res/1111.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice