【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/02/04(日) 10:11:17.90 ID:KQnxmm/50
「……私もがんばるから。だから、いい生徒会選挙にしましょう」
「ああ。よろしく頼む」
めぐみはゆうきの手を離し、はじめが差し出した手を握る。
「私の推薦者には現生徒会長もいる。だから、みんな気後れして立候補を辞退してしまったんだが……とにかく、大埜さんが立候補してくれて、本当に嬉しいんだ。だから、大埜さんの言うとおり、いい生徒会選挙にしよう」
聞きようによっては少し嫌味だったかもしれない。けれど、騎馬はじめという目の前の現生徒会副会長は、そんな成分を微塵も感じさせなかった。心の底からめぐみの立候補を嬉しく思っているのだろう。
「それでは、私はおいとまさせてもらう。昼休みの時間をとらせてしまって申し訳ない」
去るときもやはり、どこまでも気品ある挙動で。
「またすぐ、選挙に関連する場で会おう」
「ええ。また今度」
はじめはピシリと一礼すると、校舎内へと消えた。
「……ふはぁ、緊張したぁ」
驚いたことに、そんな気の抜けた声をめぐみが発し、ベンチにぺたんと座り込んだ。
「すごいわね、あの騎馬さんって。なんか気後れしちゃったわ」
「で、でもでも! 大埜さんも負けてなかったよ! なんか、騎馬さんが王子様で、大埜さんがお姫様みたいだった! で、わたしはお姫様に付き従うみすぼらしい小姓!」
興奮して思っていたことをそのまま口にして、気づく。
「……わたし、小姓……ははっ、どうせ、わたしは王子様はおろか、お姫様にもなれない、下賤の者……」
「お、王野さん? どうして自分の発言にダメージを受けてるの?」
「ふふ……わたしはどうせ、お姫様にはなれない冴えない女……ふふっ……ふふふ……」
「はいはい。勝手にしょぼくれないで。あなたにニヒルな笑いは似合わないわ」
ひとりうなだれて屋上にのの字を書くゆうきを、めぐみがそっと立ち上がらせる。
「さっきはありがとう、王野さん。手を握ってくれて嬉しかったわ。また、あなたに勇気をもらっちゃったわね」
「……ううん。そう言ってくれるだけで嬉しいよ」
騎馬はじめ。あの同級生はたしかに強敵だ。制服の着こなしから言葉遣い、行動や雰囲気を取っても生徒会長に相応しい。それに加えて、はじめには現生徒会長の推薦まであるのだ。
「ま、がんばるしかないわね。まずは……推薦者を誰かに頼まないと」
「そうだね……」
まずは同じ土俵にたつところから、ふたりの戦いは始まる。
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