【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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156:名無しNIPPER[saga]
2018/01/21(日) 10:58:50.98 ID:agWmrLpM0

 世界が暗闇に落ちる。体育館の照明は落ち、すべてが薄暗く染まる。しかし響いたのは、朗々としたとても明るい声だ。

「誰!?」

「アンリミテッド……!」

 周囲を見回す。体育館で作業をしていた生徒も、教員も、もちろんユキナや有紗も消えている。

 ゆうきたち以外が消えたその場に、しかし彼だけははっきりとその存在を示していた。

「まったく、すばらしい。あれこそが正しい欲望のあり方だ」

「あなた、誰!? アンリミテッドの仲間!?」

 体育館の真ん中に彼は立ち尽くしていた。透き通るような白い肌。ゴーダーツよりは低いが男性としては十分すぎる上背。デザイアのそれと大して変わらない細腕。ゴーダーツが戦士、デザイアが紳士とすれば、彼は若い小姓といった風情だ。

「初めまして、お嬢さん方。僕の名はダッシュー。ゴーダーツと同じく、アンリミテッドの闇の欲望の戦士だ。以後、お見知りおきを」

 どこまでもへりくだった様子で、彼は軽薄な笑みを浮かべて恭しく頭を垂れた。その姿に、ゴーダーツのように、相手を上から馬鹿にした傲慢な態度はない。しかしながら、そもそも真剣に相手と向き合っていない、相手をなんとも思っていない、小馬鹿にするよう態度がにじみ出ていた。

 それはゴーダーツよりよっぽど身近に感じられる敵で、だからこそゆうきにはそれが恐怖に感じられた。

 ゴーダーツのように、敵らしい敵だけでなく、こんなにも当たり前の人間までもが、アンリミテッドの欲望の戦士なのだ。こんなどこにでもいそうな、少しひねくれているだけのような人間が、ブレイたちの世界を飲み込み、滅ぼしたのだと実感してしまうから。

 そんな当たり前の人間までもが、欲望のために誰かを不幸にしてしまうのだと、否応なしに理解させられるから。

「……こちらこそ、初めまして、ダッシューさん」

 けれど、だからといって、その程度で引き下がるゆうきではない。

 こちとら伊達に、十余年も王野ゆうきをやっているわけではないのだ。

「わたしは王野ゆうき。ううん、あなたたち的には、こう名乗った方がいいのかな? ロイヤリティの伝説の戦士、勇気のプリキュア・キュアグリフ。よろしくね」

「……私は、大埜めぐみ。優しさのプリキュア・キュアユニコよ」

 めぐみがゆうきに付き合って、名乗ってくれるだけで、嬉しい。めぐみはできる限り、ゆうきのわがままに合わせてくれているのだ。

「ねえ、ダッシュー、あなたもエスカッシャンを持っているの?」

「うん、もちろん」

 言うや、ダッシューは懐からいびつな五角形をした小さな板を取り出した。それはキラキラと輝く、とても美しい赤の盾だった。

「あれが……」

「エスカッシャン……」



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