【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/01/21(日) 10:58:50.98 ID:agWmrLpM0
世界が暗闇に落ちる。体育館の照明は落ち、すべてが薄暗く染まる。しかし響いたのは、朗々としたとても明るい声だ。
「誰!?」
「アンリミテッド……!」
周囲を見回す。体育館で作業をしていた生徒も、教員も、もちろんユキナや有紗も消えている。
ゆうきたち以外が消えたその場に、しかし彼だけははっきりとその存在を示していた。
「まったく、すばらしい。あれこそが正しい欲望のあり方だ」
「あなた、誰!? アンリミテッドの仲間!?」
体育館の真ん中に彼は立ち尽くしていた。透き通るような白い肌。ゴーダーツよりは低いが男性としては十分すぎる上背。デザイアのそれと大して変わらない細腕。ゴーダーツが戦士、デザイアが紳士とすれば、彼は若い小姓といった風情だ。
「初めまして、お嬢さん方。僕の名はダッシュー。ゴーダーツと同じく、アンリミテッドの闇の欲望の戦士だ。以後、お見知りおきを」
どこまでもへりくだった様子で、彼は軽薄な笑みを浮かべて恭しく頭を垂れた。その姿に、ゴーダーツのように、相手を上から馬鹿にした傲慢な態度はない。しかしながら、そもそも真剣に相手と向き合っていない、相手をなんとも思っていない、小馬鹿にするよう態度がにじみ出ていた。
それはゴーダーツよりよっぽど身近に感じられる敵で、だからこそゆうきにはそれが恐怖に感じられた。
ゴーダーツのように、敵らしい敵だけでなく、こんなにも当たり前の人間までもが、アンリミテッドの欲望の戦士なのだ。こんなどこにでもいそうな、少しひねくれているだけのような人間が、ブレイたちの世界を飲み込み、滅ぼしたのだと実感してしまうから。
そんな当たり前の人間までもが、欲望のために誰かを不幸にしてしまうのだと、否応なしに理解させられるから。
「……こちらこそ、初めまして、ダッシューさん」
けれど、だからといって、その程度で引き下がるゆうきではない。
こちとら伊達に、十余年も王野ゆうきをやっているわけではないのだ。
「わたしは王野ゆうき。ううん、あなたたち的には、こう名乗った方がいいのかな? ロイヤリティの伝説の戦士、勇気のプリキュア・キュアグリフ。よろしくね」
「……私は、大埜めぐみ。優しさのプリキュア・キュアユニコよ」
めぐみがゆうきに付き合って、名乗ってくれるだけで、嬉しい。めぐみはできる限り、ゆうきのわがままに合わせてくれているのだ。
「ねえ、ダッシュー、あなたもエスカッシャンを持っているの?」
「うん、もちろん」
言うや、ダッシューは懐からいびつな五角形をした小さな板を取り出した。それはキラキラと輝く、とても美しい赤の盾だった。
「あれが……」
「エスカッシャン……」
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