【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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140:名無しNIPPER[saga]
2018/01/14(日) 17:39:12.95 ID:eQRkBpc+0

「ふっ……」

 どれくらいの時間、向き合っていたのだろう。やがてデザイアは小さく笑うような声を出すと、ふたりに背を向けた。

「言っただろう。私はまだ貴様らと戦う気はない。ゴーダーツを迎えに来ただけだ」

「ま、待つニコ! ロイヤリティの王族が卑劣って、どういうことニコ!」

「……待たぬよ、優しさの王女。もし興味があるのなら、父上か母上にでも聞いてみるといい。貴様ら王族の、卑劣なる所行の数々を、な」

「ニコ……」

 そのデザイアの言葉は、あまりにも真に迫りすぎていた。だからきっと、フレンは思わず信じてしまったのだろう。けれど、そんなフレンのすぐそばで、彼女を支える小さい影があった。温かく、優しい手が、そんなフレンをそっと支えた。

「ニコ?」

「あんな奴の言うこと、信じちゃだめグリ。優しさをなくしていたって、優しさの王族は優しかったグリ。だから――」


「――ふん。よくもまぁ、その口でそんなことがヌケヌケと言えたものだな、勇気の王子ブレイ」


「グリ!?」

 デザイアが、明らかな憎しみをもってブレイを向いた。表情はおろか、目線すら追えないが、しかしわかる。デザイアは強すぎるほどに、ブレイを憎んでいる。否、勇気の国を憎んでいる。

「ぶ、ぶぶぶ、ブレイが……ブレイたちが何をしたグリ!!」

 ブレイが震える声で問う。しかし、ブレイを見ることすらなく、マントを翻し、背を向けた。

「……全てを忘れてしまった貴様には糾弾の言葉すら生ぬるい」

 言葉を残し、ゴーダーツと闇に溶けるように消えた。

 世界に色と光が戻り、ゆうきとめぐみの姿も制服に戻る。

 アンリミテッドは撃退した。しかし、心の底から喜ぶことができない。

「……ゴーダーツとデザイア……一体どうして、ロイヤリティを憎んでいるの……?」

「お父様とお母様は、ロイヤリティとともに飲み込まれた。そんなふたりに、何を聞けって言うニコ……!」

「ブレイが何を忘れたっていうグリ……」

 答えは出ない。風が、夕暮れの街並みをさびしく駆け抜ける。



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