【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/01/14(日) 17:39:12.95 ID:eQRkBpc+0
「ふっ……」
どれくらいの時間、向き合っていたのだろう。やがてデザイアは小さく笑うような声を出すと、ふたりに背を向けた。
「言っただろう。私はまだ貴様らと戦う気はない。ゴーダーツを迎えに来ただけだ」
「ま、待つニコ! ロイヤリティの王族が卑劣って、どういうことニコ!」
「……待たぬよ、優しさの王女。もし興味があるのなら、父上か母上にでも聞いてみるといい。貴様ら王族の、卑劣なる所行の数々を、な」
「ニコ……」
そのデザイアの言葉は、あまりにも真に迫りすぎていた。だからきっと、フレンは思わず信じてしまったのだろう。けれど、そんなフレンのすぐそばで、彼女を支える小さい影があった。温かく、優しい手が、そんなフレンをそっと支えた。
「ニコ?」
「あんな奴の言うこと、信じちゃだめグリ。優しさをなくしていたって、優しさの王族は優しかったグリ。だから――」
「――ふん。よくもまぁ、その口でそんなことがヌケヌケと言えたものだな、勇気の王子ブレイ」
「グリ!?」
デザイアが、明らかな憎しみをもってブレイを向いた。表情はおろか、目線すら追えないが、しかしわかる。デザイアは強すぎるほどに、ブレイを憎んでいる。否、勇気の国を憎んでいる。
「ぶ、ぶぶぶ、ブレイが……ブレイたちが何をしたグリ!!」
ブレイが震える声で問う。しかし、ブレイを見ることすらなく、マントを翻し、背を向けた。
「……全てを忘れてしまった貴様には糾弾の言葉すら生ぬるい」
言葉を残し、ゴーダーツと闇に溶けるように消えた。
世界に色と光が戻り、ゆうきとめぐみの姿も制服に戻る。
アンリミテッドは撃退した。しかし、心の底から喜ぶことができない。
「……ゴーダーツとデザイア……一体どうして、ロイヤリティを憎んでいるの……?」
「お父様とお母様は、ロイヤリティとともに飲み込まれた。そんなふたりに、何を聞けって言うニコ……!」
「ブレイが何を忘れたっていうグリ……」
答えは出ない。風が、夕暮れの街並みをさびしく駆け抜ける。
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