【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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139:名無しNIPPER[saga]
2018/01/14(日) 17:38:09.33 ID:eQRkBpc+0

 ロイヤルストレートの光が、あまりにも呆気なくかき消される。それはまるで、排水溝に吸い込まれる水のように、あまりにも簡単に、何かに飲み込まれるようにかき消えたのだ。

「なっ……何が起きたの!?」

「う、うそ! ロイヤルストレートが……消えた!?」

「!?」

 光が消えた先、ふたりはようやく気が付いた。その場に、ゴーダーツとは違う人影があることに。

「で……で、で……ででで……!!」

「デザイア!?」

 そう、それは漆黒のマントを羽織り、仮面で顔を隠した、アンリミテッドの最高司令官にして、最強の騎士。

 暗黒騎士デザイア。

 グリフとユニコに対してまっすぐに伸ばした小さな手で、強大なロイヤルストレートをかき消したのだ。

「で、デザイア様……!?」

「ゴーダーツ。己の欲望を満たすことと、己のプライドを保つこと、それを混同するな。私は、紋章を持ち帰らぬ貴様に愛想を尽かしたりはしない。なぜなら、私は卑劣なるロイヤリティの王族とは違うからな」

「デザイア様……」

 ゴーダーツにはゴーダーツの事情があったのだろう。デザイアのその言葉に、どこか救われたような表情を見せる。しかし、そんなことはプリキュアたちのあずかり知ることではない。

「ちょっと! 勝手なこと言わないでよ! 何が、“卑劣なロイヤリティの王族” よ!」

「卑劣なのは、ロイヤリティを飲み込んだり、ブレイを人質にとったりするあんたたちの方でしょ!」

 激高するグリフとユニコに対し、しかしデザイアはあくまで泰然と返答する。

「……ふむ。前者についてはそれこそ我々の正当性しか分からぬが、後者については謝罪しよう。私の部下がすまないことをした」

「えっ……?」

「デザイア様?」

「ゴーダーツ。たしかに我々にはロイヤリティのくだらぬ慣習や誇りなどにはとらわれぬ。しかし、だからこそ欲望の戦士として、己の欲望に対して真摯であれ。もしそうでなくなれば、貴様は貴様が忌み嫌うロイヤリティと同等ということになるぞ? 欲しいものがあれば、真っ向から奪い取れ。人質を取るなどといった卑劣な真似は慎むべきであろう」

「デザイア様……申し訳ありません!!」

「……構わぬ」

 何の話をしているのか、さっぱりだった。けれど、そのデザイアの言葉にはっきりと浮かぶのは、ロイヤリティに対する憎しみだ。当惑するグリフとユニコはしかし、再び自分たちに向き直ったデザイアに対し、身構えるより仕方なかった。

(暗黒騎士デザイア……)

(ロイヤルストレートを簡単に吹き飛ばしてしまうような奴を相手に……勝てるの?)



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