9: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 19:47:20.41 ID:TXSil8FD0
1人は銀髪のツインテールに黒いスカートのゴスロリ。もう1人は黄色いエクステをつけて、チェーンがあしらわれた黒いゴスパンを身に纏っている。
蘭子と……ボクだ。
奇妙な違和感に襲われる。
鏡や写真といった媒体を介せずに自分の姿を見るこの恐怖。誰かと共感できないものか。
そういえばこの可能性を完全に失念していた。
ボクの魂がフレデリカの体に入っているのだから、フレデリカが二宮飛鳥の体を操っていたっておかしくはない。
ボクは蘭子ともう1人のボクの動きを注意深く観察した。
2人はまだ空席を探しているようだ。
来訪者に気がついた美嘉が2人をこちらへと手招いた。
美嘉「蘭子ちゃんと飛鳥ちゃん! よかったら一緒にお話しようよ★」
飛鳥(の姿をした者)「フム…そうさせてもらおうかな」
蘭子「きまぐれな天使の邂逅…! (奇遇ですね!)」
奏「2人はレッスン終わりなの?」
飛鳥(の姿をした者)「そうだよ。レッスン後に一休みするのも悪くないと思ってね」
蘭子「我が翼は刹那の休息を得た…(私は久しぶりの終日オフでした!)」
二宮飛鳥の姿をした者から発せられる口調を聞いている限り、フレデリカらしいところは観測できない。
となるとフレデリカの人格はどうなっているのだろう。
参ったな……事態はボクが想定している以上に深刻なのかもしれない。
ウェイトレス「いらっしゃいませ、お客様。ご注文はお決まりでしょうか?」
蘭子「ククク…紅き雫、もとい紅茶を所望する! (紅茶をください!)」
飛鳥(の姿をした者)「魅惑のボンボンショコラーテ、とびきりのやつをもらおうか」
蘭子「飛鳥ちゃん、そんなメニューないよ?」
理解ったぞ。カフェの注文でフランス菓子必殺技シリーズを繰り出し、蘭子をも素の状態にできる人物なんてボクの周りでは1人しかいない。
ククク......やはりキミなんだな。
フレデリカ(飛鳥)「ちょっと飛鳥ちゃ〜ん、こっちこよっか〜!」
飛鳥(の姿をした者)「やれやれ、袖を引っ張らないでくれ……むりやり連れ出されるのは慣れてないんだ」
志希「きゃ〜、フレちゃんだいた〜ん♪」
志希の茶化した言葉を意に介せず、ボクは二宮飛鳥の姿をした者を物陰へと連れ出した。
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