31: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:20:54.08 ID:TXSil8FD0
街頭に明かりが灯り始めた。
気がつくと見憶えのある道に辿り着いていた。どうやら寮の近くまで戻って来てしまったみたいだ。
けど、ボクはまだフレデリカを諦めてはいない。
歩く道の先にある、高く伸びた電柱から光の筋が見えた。光が照らしていたのはゴスパンを身に纏い佇む少女、二宮飛鳥だった。
フレデリカ!
やっと、見つけた。ずっと探していたんだ!
心臓の鼓動が早くなる。口角が浮ついてくる。早歩きが小走りになった。
まだ、言いたいことが言えてないんだ。全てを言い切ったら元気に暮らそう。
今はまだそんな気持ちにならないかもしれないけど、陰鬱な気分を吹き飛ばすフレンチジョークが今なら思いつきそうなんだ。
もし、フレデリカが自分の記憶を思い出せないと言うのならボクが全てを教えよう。
フレデリカの事ならなんでも知っているんだ。
だから、フレデリカ──……
フレデリカ(飛鳥)「こんな処に居たのかい。フレデリカ! もう、見つからないと……」
二宮飛鳥「フムン……? 冗談はよしてくれ。フレデリカはキミじゃないか」
フレデリカ(飛鳥)「……嘘だ」
フレデリカ(飛鳥)「嘘だといってくれよ、なぁっ!?」
二宮飛鳥「ジョークだと思いたいのはこっちだよ」
フレデリカ(飛鳥)「そうか、忘れているだけなんだろう……? 思い出してくれ、フレデリカ……!」
二宮飛鳥「ワケの理解らないことを言わないでくれ。今日は虫の居処が悪いんだ」
フレデリカ(飛鳥)「本当に、本当に何も覚えていないのか……?」
二宮飛鳥「やめろと言っているだろう! 今日は散々な1日ってヤツだよ全く──……」
目の前のヒトの中に宮本フレデリカはもういない。
それだけは、確信してしまった。
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