【モバマス】飛鳥「ボクは、宮本フレデリカだ」
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30: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:20:10.22 ID:TXSil8FD0

街を行き、ショッピングモールを走り、カフェも覗き、他の心当たりのある場所全てを探した。
が、フレデリカを見つけ出すことは叶わなかった。

陽は落ち始め、夜が近い。

溜息をつきながらポケットの奥底にしまっていたくしゃくしゃのメモ用紙を再び取り出す。


『アスカちゃん、おつデリカ♪……それともおつアスカの方がいい? うん、どっちでもいいよね☆ ●●アタシはアタシらしく、アスカちゃんはアスカちゃんらしくいられるなら!』


キミはどうしてそこまで笑顔でいられるんだい。消えかけたロウソクのような自我の中でも。

そうだ、前にもフレデリカは同じようなことをしている。
自分が心に抱えている苦しさを隠して明るく振舞っていたことが。
ふと、志希の言葉を思い出す。


『あたし、見ちゃったんだ。昨日、飛鳥ちゃんがフレちゃんの部屋から出てくるなり、苦しそうに走っていくトコを♪』


そうだ、やっぱりあの時にはもう気がついていたんじゃないのか。
ボク達の人格が入れ替わり、精神が飲み込まれていることを。
自分が塗り替えられていくのに孤独と不安を感じていたんじゃないのか。
そしてキミはボクに見られないように苦しんでいた。

それでもキミは上手くはぐらかして、ただ笑っていた。ボクの為にずっと宮本フレデリカでいてくれた。
アイデンティティが揺らいでいたのはキミも同じ筈なのに。

フレデリカ、キミはカメレオンの皮膚の色は環境によって勝手に変えられると言っていたね。
光量や熱量や、感情をキッカケに変色するモノだと。

もしかしてカメレオンというのは、キミ自身のことかい。
だとするとキミは周りの人物の為に自分の色を変色させていたのいうのか。
辛いときには笑って見せてくれて、寂しいときには会いに来てくれて、不安なときには元気を分けてくれる。

……ボクはフレデリカの懐に甘えていたんだ。それが彼女のココロを少しずつ蝕んでいると気付かずに。


寂しくなる夜にいつも逢いに来てくれたのは誰か。
入れ替わり生活を支えてくれたのは誰か。

ボクはただ、とにかく──



フレデリカ(飛鳥)「フレデリカに……逢いたい」


手にとったメモ用紙を再びポケットの奥へとしまい込んだ。




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