3: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 19:36:55.68 ID:TXSil8FD0
けたたましい電子的な金属音がボクの耳に飛び込んでくる。目覚まし時計の頂上を叩いた。
今、良い処だったのに。
まぁいい。邪魔者は消えた。さて、ボクは再び夢の世界──、シン・セカイへ旅立つとするか。
さあ。毛布にくるまり、目を瞑って。ストーリーを紡ぎ出すんだ!
《シンデレラ・インフィニット。ボクは風神の襲撃によって崩壊したセカイを救う王子サマ。さぁ! 今こそ誓いの口づけで封印を解き明かして──》
……再び耳をつんざく雷鳴が部屋中に轟いた。
クッ! スヌーズ機能だと……!
科学の発展というのは度々、ボク達人類の幸せを阻害してくる。
興が醒めた。続きはまた今晩にとっておくとしよう。そろそろ起きないとね。
立ち上がろうとした所で急にセカイが反転したようにうねり、まともに立てなくなってしまった。
目眩……か。それになんだかカラダが重い。
顔でも洗うか。水で冷やせば意識も覚醒することだろう。
ところが洗顔する迄もなく、洗面所の鏡はボクの目を覚まさせてくれた。
ステイ、待ってくれ。一つ質問をいいかな。
ボクの経験によると鏡は『現実世界をありのままに描きだすモノ』な筈だ。それは揺るぎのない事実だろう。
《じゃあ今、金髪の女性しか目の前に見えないのは一体どういう事だ?》
ボクの目が可笑しくなってしまったというのか?
グリーンアップルの瞳を擦ろうとすると鏡の中の金髪の女性も同時に動いた。
「そんなバカな、………ッ!?」
目だけじゃない。声が変だ。甘い、雲のような音色。
ボクは知っているぞ。この顔、この声、この姿を……
「宮本、フレデリカ……だ」
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