28: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:17:39.32 ID:TXSil8FD0
二宮飛鳥の部屋に戻ると、もう中に誰もいなくなっていた。
手遅れだったか?
いや、まだだ、まだフレデリカの部屋の可能性が!
階段を駆け下りて、突き飛ばすようにドアを開ける。
フレデリカの存在を確かめるよりも早く異様な光景が視界に入った。
玄関にあったあらゆる靴が靴箱から飛び出している。
空き巣の可能性を疑いつつ、部屋の中に入ると全てのタンスが開かれていた。衣類が乱雑に放り出されている。
何故フレデリカの部屋がこんなにも荒らされているんだ?
室内を見渡すと一枚のメモ用紙が机の上に置かれているのをみつけた。
『アスカちゃん、おつデリカ♪ ……それともおつアスカの方がいい? うん、どっちでもいいよね☆ ●●アタシはアタシらしく、アスカちゃんはアスカちゃんらしくいられるなら!』
文章を読み解いただけでもまるでフレデリカが飛び出してくるかのような彼女らしい内容だった。
だが、なぜこんなにも文字が震えている。フレデリカはもっと丸々しい字の書き方をしていたはずだ。今にも崩れそうに踊る文字の中に自らの一人称を書き直した痕跡だけが静かに佇んでいる。
メモから目を離すと、衣類で散らかった部屋と色んな靴でいっぱいの玄関が再び視野に入った。
フレデリカ(飛鳥)「……ッ! フレデリカ!」
ボクは残った力を振り絞り、本日5度目となる全力疾走を敢行した。
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