31:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:41:09.09 ID:qwsOQIk10
スマイリーが僕の隣に座っていた。
とてもスマイリーという顔をしていて、スマイリーの手足そのままで、ほとんど完全なスマイリーだったけれど、僕は目の前のスマイリーに以前会ったこともなければ、見覚えも全くなかった。
32:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:42:06.72 ID:qwsOQIk10
「ちょっとわからないです」
すみません、と僕は言った。
33:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:42:58.38 ID:qwsOQIk10
「驚きましたよ。
だって隣に、当のその人が浮かない顔をして座っているんですから。
浮かない顔、そのまんまですよ」
34:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:43:43.90 ID:qwsOQIk10
「失礼に当たるかもしれません。
でも、あなたの名前をお聞きしておきたいんです。
ありふれた一日を特別に彩る思い出として」
35:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:44:49.71 ID:qwsOQIk10
いくつかの駅に停まりつつ、電車はたえず走り続けた。
その間に四人で暮らしたあの奇妙なアトリエも通り過ぎた。
いつも通りの、木造で古めかしい見てくれの平屋だった。
僕とスマイリーはお互い黙って、窓の外の空や風景を眺めていた。
36:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:45:38.03 ID:qwsOQIk10
次第に電車は速度を増していった。
窓の外の風景が徐々に輪郭を失っていったかと思うと、風を切る唸るような音が響きわたってきた。
小さな車体と不釣り合いに、猛スピードで走り続ける電車に揺られて、僕もスマイリーも前へ前へと進み続けた。
直線を彼方まで突き進んでいるのか、差しわたり無限の円をぐるぐると回り続けているのか、どちらにせよ同じことだった。
37:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:46:53.43 ID:qwsOQIk10
僕は僕の、
スマイリーはスマイリーの、
少女たちは少女たちの、
遠くにある目的地をめざして。
38:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:48:26.03 ID:qwsOQIk10
Serani Poji - スマイリーを探して / where is smiley?
という曲から着想を得て、書いてみました。
39:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:49:38.77 ID:qwsOQIk10
最後までお付き合いいただいた方、ありがとうございました。
少しでも、よかった、と思っていただければ幸甚です。
40:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:24:19.62 ID:uBzuvIrgo
イミフだが雰囲気は良かった。外国の詩っぽいなと思ったらまさかのゲームソングか
そしてとんでもない電波ゲームを教えてもらった。サンクス
41:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 01:02:30.62 ID:TXSIKpn/0
ぜひ曲も聴いてみてくれよな
44Res/16.90 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20