名前はきっとスマイリー
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28:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:38:30.61 ID:qwsOQIk10

  *****

 最寄りの駅まで歩いて行き、電車に乗った。
 裏庭の向こうを走る例の小さな電車だ。
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:39:17.44 ID:qwsOQIk10

 その車内で僕はスマイリーと顔をあわせることになる。
 スマイリーとの出会いがこの一日の、そしてこの一年を締めくくる最後の出来事なのだ。
 一応僕にとって、と付け加えてはおく。
 スマイリーは僕にこう話しかけてくる。


30:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:40:29.31 ID:qwsOQIk10

「あの、すみません。以前どこかでお会いしたことは?」

 僕の隣の席に座っていた一人が、突然声をかけてきた。
 その顔を見た途端、僕は白い気球とそれを運ぶ渡り鳥の声、ひつじ雲、ポップコーンの複合映像を脳裡に見た。
以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:41:09.09 ID:qwsOQIk10

 スマイリーが僕の隣に座っていた。
 とてもスマイリーという顔をしていて、スマイリーの手足そのままで、ほとんど完全なスマイリーだったけれど、僕は目の前のスマイリーに以前会ったこともなければ、見覚えも全くなかった。


32:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:42:06.72 ID:qwsOQIk10

「ちょっとわからないです」

 すみません、と僕は言った。

以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:42:58.38 ID:qwsOQIk10

「驚きましたよ。
 だって隣に、当のその人が浮かない顔をして座っているんですから。
 浮かない顔、そのまんまですよ」

以下略 AAS



34:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:43:43.90 ID:qwsOQIk10


「失礼に当たるかもしれません。
 でも、あなたの名前をお聞きしておきたいんです。
 ありふれた一日を特別に彩る思い出として」
以下略 AAS



35:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:44:49.71 ID:qwsOQIk10

 いくつかの駅に停まりつつ、電車はたえず走り続けた。
 その間に四人で暮らしたあの奇妙なアトリエも通り過ぎた。
 いつも通りの、木造で古めかしい見てくれの平屋だった。
 僕とスマイリーはお互い黙って、窓の外の空や風景を眺めていた。
以下略 AAS



36:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:45:38.03 ID:qwsOQIk10

 次第に電車は速度を増していった。
 窓の外の風景が徐々に輪郭を失っていったかと思うと、風を切る唸るような音が響きわたってきた。
 小さな車体と不釣り合いに、猛スピードで走り続ける電車に揺られて、僕もスマイリーも前へ前へと進み続けた。
 直線を彼方まで突き進んでいるのか、差しわたり無限の円をぐるぐると回り続けているのか、どちらにせよ同じことだった。
以下略 AAS



37:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:46:53.43 ID:qwsOQIk10

 僕は僕の、
 スマイリーはスマイリーの、
 少女たちは少女たちの、
 遠くにある目的地をめざして。
以下略 AAS



38:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:48:26.03 ID:qwsOQIk10
Serani Poji - スマイリーを探して / where is smiley?

という曲から着想を得て、書いてみました。


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