10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 20:04:21.55 ID:bHIAf+4c0
*****
僕は一時期、魔法少女たちのアトリエに間借りをしていたことがある。
当の話の一日、あるいは一年も僕はその奇妙なアトリエに住んでいた。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 20:15:20.52 ID:bHIAf+4c0
このアトリエは奇妙のオンパレードだった。
家賃も必要なければ、アトリエらしき何かが行われている様子もまるでなかった。
アトリエとはいったい何なのだ?
12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 20:28:11.05 ID:bHIAf+4c0
魔法少女は全部で三人いた。
それぞれピンクのスター、イエローのサンダー、スカイブルーのウィンドという名前だった。
色はたんにイメージカラーというものらしく、名前とは関係ないとのことだった。
彼女たちによれば、
13:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 22:07:10.15 ID:bHIAf+4c0
その日の朝、めずらしく三人は僕よりも早く起きて、朝ご飯の支度をしていた。
いや、たぶんそんなことは初めてだっただろう。
それまでは僕が先に起きて、僕がかかさず朝ご飯を四人分作っていたのだから。
14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:12:54.54 ID:bHIAf+4c0
「おはよう!」
と三人の魔法少女が口々に言ってきた。
共同スペースには、特に魔法の気配は感じられなかった。
ごくふつうの、朝の台所の風景のように見えた。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:18:43.68 ID:bHIAf+4c0
僕はあっけにとられて何を見るともなく見、朝ご飯のいい匂いを鼻から取り入れていた。
しばらくしてやっと、おはよう、と彼女たちに言うことができた。
僕らは四人揃って食堂にひとつだけあるテーブルに向かった。
こんなことも初めてだった。
16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:24:12.80 ID:bHIAf+4c0
「そういえばさ」
とスターが僕に言った。
「名前、なんていうの?」
17:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:29:53.52 ID:bHIAf+4c0
「たしかにね。気にしたこともなかったな」
とサンダーが何とはなしに言った。
「そうだね、知っておきたいかも」
18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:36:05.47 ID:bHIAf+4c0
でも僕はひとつだけ、これかもしれないな、という名前を返事として言った。
三人は口をポカンと開けたかと思うと、そのままうれしいような切ないような、とにかく奇妙な表情をした。
「なんだか、イメージとだいぶ違うね」
19:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:40:49.23 ID:bHIAf+4c0
「イメージと違うっていうか、イメージ不足ってカンジじゃない?」
と、同じくイエローの気配がまるでないサンダーが言った。
そうかな、と僕が言うと、サンダーとウィンドの二人がうんうんと肯いた。
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