名前はきっとスマイリー
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20:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:44:15.46 ID:bHIAf+4c0
「でも、とってもすてきな名前だと思うな。大事にしなきゃね」
 とスターが奇妙な表情で僕に言った。

「そうよ、名前ってとっても大切なものなんだから」

以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:52:15.23 ID:bHIAf+4c0

 それから後、彼女たちがここに戻ってくることはなかった。
 まるで不思議な魔法がかけられたかのように、アトリエにはなんだか常と相容れぬ落ち着かない空気と、僕の身体が取り残された。

 もしかするとあの奇妙な表情は、僕との別れのしるしだったのかもしれない。
以下略 AAS



22:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 22:57:34.79 ID:bHIAf+4c0

 ふと、テーブルにのった炊飯器の上に手紙のようなものが置いてあるのに気がついた。
 手に取り、折り目を開いてみると、真っ白な紙に黒いペンでこう書かれていた。


23:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 23:00:46.42 ID:bHIAf+4c0

     *****
  

   わたしたち三人は、
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 23:05:49.68 ID:bHIAf+4c0

 思えば、僕は彼女たちのことを全然知らなかった。
 少女としての彼女たちを。

 三人とも、年はいくつだったのだろう。
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 23:11:41.79 ID:bHIAf+4c0

 魔法少女だった彼女たち。
 イメージカラーのあった生活。
 三人の魔法少女が去ったこのアトリエは奇妙な雰囲気がいささか薄れ、淋しさの量がちょっとだけ増し、とてもとても広々としていた。

以下略 AAS



26:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 23:23:04.46 ID:bHIAf+4c0

 薄手の上衣を羽織り、外に出た。
 道沿いの桜の蕾はまるまると膨れていて、家々の前庭に植わっている百日紅はつるりとその細身を際立たせていた。
 季節の巡りの凝縮の切れ端がそこかしこに落っこちていた。


27:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 23:29:26.27 ID:bHIAf+4c0

 ぽつんと残された炊飯器。
 手近にあったものを突っ込んでスイッチを押した後、炊飯器はそのまま放っておくことにした。
 僕の役目はそれで終わりのような気がした。
 魔法でぴかぴかに清潔になった炊飯器の釜のなかで何が起ころうが、もはや僕の手に負えるところにはないのだ。
以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:38:30.61 ID:qwsOQIk10

  *****

 最寄りの駅まで歩いて行き、電車に乗った。
 裏庭の向こうを走る例の小さな電車だ。
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:39:17.44 ID:qwsOQIk10

 その車内で僕はスマイリーと顔をあわせることになる。
 スマイリーとの出会いがこの一日の、そしてこの一年を締めくくる最後の出来事なのだ。
 一応僕にとって、と付け加えてはおく。
 スマイリーは僕にこう話しかけてくる。


30:名無しNIPPER[saga]
2017/12/15(金) 23:40:29.31 ID:qwsOQIk10

「あの、すみません。以前どこかでお会いしたことは?」

 僕の隣の席に座っていた一人が、突然声をかけてきた。
 その顔を見た途端、僕は白い気球とそれを運ぶ渡り鳥の声、ひつじ雲、ポップコーンの複合映像を脳裡に見た。
以下略 AAS



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