54: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/13(水) 02:05:34.51 ID:VbrfxfJEo
カップを両手に携えると――相変わらずののっぺらぼうではあったのだが――男はにこやかな笑顔で振り返った。
刹那、派手に弾け飛ぶ蛍光灯。
テーブルは中央から真っ二つに折れ、棚から食器が狂喜乱舞。
流しの蛇口は滝と化し、冷蔵庫は扉を開けると食材や飲み物を辺り一面に撒き散らした……。
ダイニングがそんな混沌模様の荒れ具合をプロデューサーに見せる中、
春香は膝に手を置き背筋を伸ばし、お行儀よく椅子に座ったまま。
「別に、理由は、無いですよ。後、私の勘違い……この部屋、女の子を上げるには少ーし汚すぎますよね」
にっこりと微笑んでいるのだが、彼女の笑顔はとても冷たい。
一瞬のうちに足の踏み場も無くなった床に佇んで、
プロデューサーはこのヤキモチ焼きなご主人様を本気で怒らせると自分はどうなってしまうのか?
……その恐ろしい想像に背筋を震わせるのだった。
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