53: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/13(水) 02:03:30.73 ID:VbrfxfJEo
「そ、それにしてもプロデューサーさんの家、意外に片付いていますよね。……ふふっ、案外綺麗好きなんですか?
男の人の一人暮らしだから、私、もっとごちゃごちゃしてると思ってた」
そうして彼女はやり場に困る視線を部屋のあちこちに巡らすと、最終的には台所に向かって立つプロデューサーのその背中。
さらには彼の周りの整頓された流しやコンロ周りへと向けられた。
二つ並べたコーヒーカップにケトルのお湯を注ぎながら、プロデューサーが説明する。
「それに関しましては春閣下様――」
「プロデューサーさん、口調口調」
「ああ……そ、それに関してはな、春香さ……春香」
「はい♪」
「上の階にいる響が時々オカズを持って来てくれたりしてな。ペットを預かることもあるし、
夕食を一緒に食べたりとか、ついでに部屋を片付けて行ったりとか――」
その時だ。鈍い物音がして分厚いテーブルに亀裂が走る。
蛍光灯もそれに合わせてチカチカチカと点滅したが、
異変に気付かぬプロデューサーは後ろを振り返ることもせずに。
「終電無くした恵美が来たり、このみさんたちが宅飲みの会場に使ったり。
とにかく人の出入りが激しいから散らかす余裕も無いと言うか」
「……へぇ、そうなんですか。知らなかった」
「そういや、春香だけは頑なにウチに来なかったな。なにか理由でもあったのかい?」
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