102: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/27(土) 22:55:34.72 ID:lt/OPqe90
勇者「どう? 仕事の調子は」
便所掃除「上々だ。おかげで兵舎に入れず、身体も糞まみれ。民衆から忌み嫌われ、魔物扱いしてくる子供もいる」
肉餡を小麦粉の皮で包む。
竹を編んだ蒸籠の中に八つ、円を描くように詰め、蓋をする。
沸騰した湯に蒸籠を置き、蒸しあがるまで待つ。
便所掃除「朝陽が昇るのを見ると、たまらなく憂鬱な気分になるんだ。俺は何のために王都から派遣されてきたんだって、己の無力を呪いながら、糞を集めに荷車を押すのさ」
勇者「お前も色々悩んでいるんだな……俺もだよ。自分の実力に合わない大役を任されていてさ」
便所掃除「大役?」
勇者「失敗したら家族もろとも、奈落の底だ。家族だけじゃない。数百、数千人の命も背負ってる」
マントゥが蒸しあがった。
瑠璃の皿に移し、トッピングにミントの葉をひとひら。
唐辛子とニンニクのソースをかけて、できあがりだ。
勇者「分かるか? 俺の瞳。五芒星があるだろう」
便所掃除の目がたちまち大きく見開かれた。
便所掃除「まさか、お前……勇者なのか……?」
料理長「マントゥのミント添え、一丁あがり! 待たせたな!」
勇者「お、きたきた。さぁ、食おうぜ!」
便所掃除「……」
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