8:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 20:01:39.92 ID:tuTmdYX90
「じゃあ俺らの船に積んであったあれはでっけぇプラモデルか何かか?」
「商売に私情は挟まないだろうよ。ココさん個人の問題として、って話さ」
「さー、考えたこともねえけど……なんか根拠でもあんの?」
「特に何かあるわけでもないんだが……うちの部隊にASが配備されないからさ。この前提案してみたんだが、素っ気ない感じで」
「いや、さすがに必要ねえだろ。金食い虫だし」
「そうか? ASが一機あれば、荷の積み下ろしも楽になるし……値段にしても、最近物凄い価格競争が起きてるからな。
ココさんくらいの金持ちならM6一機くらい余裕で運用できると思う。テロリストや海賊が装備してるってニュースもよく見るだろ?」
「いまのままでも対応は出来てるだろ?」
「そりゃそうなんだが……なあルツ、ココさんがなにかデカいことやろうとしてるってのは、お前も気づいてるだろ?
「……まあ」
「具体的に何をするか、なんてのは俺にも分からんが、必ず邪魔は入る筈なんだ。
なら、その時にASは邪魔にならないと思うんだよ。なんせ今やあのSFチックな兵器が陸戦の王者だ」
「っても、誰が操縦するんだよ? レームのおっさんだって、最新のASを乗り回したことはねえだろうし」
ASは新しい――もっと言ってしまえば歴史の浅い兵器だ。ここ十数年でその概念が確立、急激に発達した。
いまでこそデルタ・フォースもAS操縦技能の取得が必須になっているが、
レームがデルタに所属していた頃はようやく手探りで運用が始まった頃だろう。
当時はトラップや不意打ちで行動不能に陥り、ゲリラ側に鹵獲されるASも多かったという話だ。
「まあ、レームさんならちょっと訓練すりゃすぐに対応できる気もするが……なんだったら、俺とかでも」
「……トージョ、もしかしてお前が乗りたいだけなんじゃねえのか?」
「だははは! バレたか!」
「おーい、そこの二人。休憩は終わりだよ! ほら、準備準備!」
大声で笑うトージョに気づいたのか、あるいはヨナとの読書タイムが終了したのか。
ココが走るジェスチャーを繰り返しながら二人に向かって手を振っている。
いつの間にか彼女の周りには、二人以外の私兵が集合していた。
「おっと――やべえ。ほら、馬鹿笑いしてねえで行こうぜトージョ」
「馬鹿笑いとはなんだよ」
慌てて駆けだすルツの後を追いながら、しかしトージョの目の奥にある疑問の根は払拭されていなかった。
106Res/207.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20