57: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/11/20(月) 22:46:50.27 ID:uLSpg/zU0
青ヶ島外輪山の拠点化、そう一口に言うとただ画期的な案のように思える。だけど現実は、戦略シミュレーションゲームのようにコマンド一つで簡単に城や要塞を立てられるわけではない。
二重カルデラ地形という特性上、地盤に関してはそこまで苦労はしないだろう。ただ、急斜面ということで自走砲や戦車のように車両系の火砲は設置箇所に大きな制限が設けられる。同様の理由から、大口径砲に関しても恐らく多数配備することは難しい。
迫撃砲、臼砲などなら数も相応にあるが、此方で対処できるのはせいぜい通常種の非ヒト型軽巡級まで。押し寄せてくる深海棲艦の大艦隊に、「南方に大きな戦力を割くことを躊躇わせる」には何千門束にしようと威力が不足する。
本土から威力がある陸上火砲の輸送とそれらを深海棲艦に対して効果的な火線になるよう調整しながら配置………2、3年前ならいざ知らず、「明日にも侵攻が始まるかも知れない」今の状況で残されている準備時間は極僅か。
県一尉は賞賛してくれたが、実際この計画を脳内でつめていくにあたって朝覚えた高揚は消えていった。今の僕の胸に変わって去来したのは、自分に対する失望と怒り。
ああ畜生、何が「自分は人類の要衝の守りを任されている」だ。
何故数年もの期間この空白地帯に悩まされていながら、この事に思い至らなかったのか。いや、何故かなんて決まっている。僕が迂闊で無能だった、ただそれだけの話。
(´Д`)「龍驤さんの言及した問題以外にも、この計画にはいくつもの問題がある。
内陸誘引を前提とした場合村民はどうするのか?硫黄島に思いの外大きな戦力が投入された場合それをどうやって更にこっちに引きつけるのか?逆にこっちに予想を大きく上回る敵艦隊が殺到した場合どれぐらい持つのか?火力の件も含めて、これらの問題を解決するために残されている時間は少ない。しかもただ“少ない”というだけで、正確にいつ頃までなのかさえわからない」
県一尉への注文も、言ってしまうなら「間に合う確率が低くてもやらないよりはマシだから」出した要請。
そして僕の容量の少ない脳味噌では、これに変わる南方の孤立を阻止する方策もこの計画の完成を早める案も思いつかない。
(;´Д`)「………訓練や情報収集、資源備蓄も併行して進めていかなきゃいけない中で、とんでもない無理難題を言ってごめんなさい。でも、僕みたいな無能には現状は南方孤立の可能性を確実に低下させられる策はこれぐらいしか思いつかない。
どうか、力を貸して下さい」
「………ブハッ!!ハハハハハッ!!!」
机に額がつきそうな程、深く頭を下げた。そんな僕の姿を見て、瑞川漫才も耐えきった石田一尉が突然吹き出しそのまま笑い始めた。
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