56: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/11/20(月) 22:44:41.87 ID:uLSpg/zU0
島嶼自体が相応の火力を持っているなら、艦娘の数が減少してもある程度の迎撃は見込める。つまり、精鋭部隊による突貫で敵包囲網を突破して寸断されたシーレーンの回復、孤立した南方への増援を派遣する余裕も出てくる………実際にはそんなことは全くないけれど、「そう思わせることが出来た」なら十分僕らの勝ちだろう。
「後ろ向きではありますが、もう一つ大きな利点が。
仮に我々が制海権を掌握されてこの鎮守府施設が沈黙したとしても、島内陸部で我々が未だに戦力を有している可能性を敵が捨てきれなくなります。外輪山もそうですが青ヶ島は全体的に峻険な地形が多く、小島ながら引き込んでのゲリラ戦はうってつけだ。
予め島内にも予備の物資備蓄でも用意しておけば、実際に陸上戦を展開し防衛限界を“制海権喪失後”に至るまで引き延ばすことも可能です」
県一尉の補足は彼自身が言うとおり僕らにとって“最悪”の展開であって、あまり想像して気持ちのいいものではない。とはいえ、戦争を準備する以上“最悪の状況”に対する備えは絶対不可避になる。
楽観論で戦争に望んだらどうなるかは……インパール……ジンギスカン……ウッアタマガ……
それに───僕らにとっての“最悪”で納まるのなら。国にとっての、日本にとっての最悪にならずにすむのなら。
それはきっと、僕等が役目を果たせたと言うことなんだろう。
「上陸を許した時点でほぼほぼ詰みではありますが、艦娘の皆さんや提督殿、海さん方の脱出時間の確保、そして南方部隊の後退や救援に繋がるなら本望です。せいぜい、奴等が辟易するほど意地汚く粘り抜いてみせましょう」
「阿呆。陸のとはいえ同じ日本守る仲間見捨ててはいそうですかありがとうって逃げられるほど神経図太く出来とらんわ。そん時来たら、ウチはあんたらも引き摺って後退させるか一緒に小銃担いで残るかさせてもらうからな」
「は………はぁ……それはなんとも勇ましい……」
さらりと、しかし有無を言わさぬ強い口調で言い放たれた龍驤さんの台詞に県一尉はしばし右往左往した後に押し黙る。その眼には感動と畏敬と……あとなんかもう一つ感情が浮かんでいる気がする。
(´Д`)「………」
県一尉には後で念を押しておこう。何がとは言わないけどね、何がとは。
「しかしアレやな。確かに県一尉の言うとおり凄い作戦やわ。ある程度潤沢な艦娘戦力を持ってるのに深海棲艦との“陸戦”を最初から視野に入れた作戦計画とか、なかなか思いつくもんじゃない。
手放しで褒められるええ作戦や───準備する時間があるなら、な」
(´Д`)「………うん」
本当に、流石龍驤さん。何から何までお見通し。
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