11: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 13:38:35.67 ID:nq6xVQ2U0
「聴いて頂いたのは、相葉夕美で『lilac time』でした。休日の昼間にはピッタリの曲だったんじゃないかな?」
私は嬉しさと恥ずかしさ、懐かしさの混ざったような何とも言いがたい気持ちで自分の持ち歌を聞いていた。
12: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 13:42:27.76 ID:nq6xVQ2U0
その気になった夕美の行動は速い。いつもはにこにこふわふわだけど、何かの拍子に走り出すと止まらない――そう形容される彼女の性格だが、今回も例外なくそれを発揮していた。
「あぁ、彼女の“アレ”の事かい...?普段はとても頼れる優しいお姉さんみたいな感じなんだけど、暴走?はし?りだすと止まらなくてね...。聴いてくれるかい?今年の彼女のバースデーライブで、誕生花について語り出した時なんかは――」
13: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 13:49:37.83 ID:nq6xVQ2U0
あれこれと外出の準備をしていると、お腹が力なくきゅーっと情けない音を発した。それを聞いて、私はようやく自身の空腹を自覚した。考えてみれば朝から何も口にしていなかった。
いつもなら簡単に何か作るんだけど、今は何だかそんな気分じゃない。リコッタパンケーキ、である。少し前の哀愁じみた感情はどこへやら。
14: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 13:59:16.25 ID:nq6xVQ2U0
ガタンゴトンと軽快な音を発しながら、夕美の乗る電車は雲一つない青空の下、街の中を進んでいた。以前に下調べを済ませていた店へと向かっている最中であった。
偶然にもそれが、飛鳥がラジオで話していた店である事をまだ夕美は知らない。
15: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 14:01:36.11 ID:nq6xVQ2U0
目的地の最寄り駅に着いて電車を降りる間際、私より少し年下くらいの女の子に「夕美さんですよね?いつも応援してますっ。」と、さり気なく声を掛けられた。
以前プロデューサーさんに指摘されたから、今日はわりとしっかり変装してるつもりだったけど、これでも分かっちゃうものなのかな?
16: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 14:11:16.08 ID:nq6xVQ2U0
駅から数分歩いて橋のたもとに差し掛かった頃、ようやく目的地の建物が見えてきた。私はまるでスキップでもするかのような軽やかな足取りで、その建物へだんだんと近づいていった。
お店の前に着いた時には、時刻は既に午後4時を回っていた。
17: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 14:27:44.32 ID:NNKC7f8n0
注文してから数分後、バターの香ばしい香りとふんわりとした甘い香りと共に、ようやく待望のリコッタパンケーキが姿を表した。
お皿の上には三段重ねのふんわりとした分厚いパンケーキ、それぞれの上にちょこんと乗せられたバター、縦にカットされた少し小さめのバナナ。サイドには備え付けのメープルシロップ。
18: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 14:30:33.01 ID:NNKC7f8n0
(リコッタパンケーキのイメージ画像だよ)
https://i.imgur.com/bpEQQHN.jpg
19: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 14:33:56.46 ID:NNKC7f8n0
想像と少しばかり違う。いやかなり違う。もっとこう、なんていうのかな、かわいらしいものを想像してたんだけどなぁ。いやまぁビジュアル的にはかわいらしいんだけどね?うーん、カロリー的にはちょっとかわいくないかなぁ...。
――頼んじゃったものはしょうがない。明日のレッスン、プロデューサーさんにお願いして少し増やしてもらわないとっ。
20: ◆m5V2DnGtwU[saga]
2017/11/09(木) 14:39:24.20 ID:NNKC7f8n0
さながらセレブにでもなったかのような気分を楽しみながら食べ進めていると、あっという間にひと皿をぺろっと平らげてしまった。リコッタパンケーキ、恐るべし。今度また誰かと一緒に来たいなっ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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