10:名無しNIPPER[saga]
2017/11/02(木) 07:40:18.83 ID:yaYFtgev0
「……ははっ、そうだよな。見えないよな。こんな姿が良く見えるのであれば、そいつは最高の馬鹿だ」
そんな彼女の様を見てか、Tは嘲笑ってからそう言った。
「用事はそれだけか? なら、早く帰ってくれないか。仕事の邪魔だ」
更にそう付け加えた後、Tは視線を奈緒から外し、作業を再開し始める。
書類上にペンの走る音、紙を捲る際に生まれる乾いた音、カタカタとキーボードを叩く音。
言葉の無くなった世界にそれら三つの音が鳴り響き、辺りを徐々に支配していった。
「……ま、待って!」
だが、それらの音に抗うかの如く奈緒は声を発した。まだ話は終わっていないとばかりに大きく声を上げた。
しかし、作業を続けるTの手は止まらない。彼女の声には全く耳を貸さず、視線すら合わせない。
そんなTの否定的な態度を目の当たりにし、奈緒の心は傷つきずきりと痛みが走る。
63Res/47.03 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20