4:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:01:10.58 ID:Qz0ENqNrO
「明日は普通の友達同士に戻ってみてさ。それで何の問題もないなら別れてみても良いかもね」
「そ、そうかも」
翼も面白いこと思いつくなぁ。確かに何の問題もなければ、恋人じゃなくても良いもんね。
でも、案外問題はないんじゃないかな。
5:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:02:49.48 ID:Qz0ENqNrO
「わあああああああああああ!? レッスンに遅刻しちゃううう!」
そんなやりとりの翌朝。
私は――寝坊してしまった。いつもならお母さんが起こしてくれるのにそれが全くないから。
朝ご飯を急いで食べる――――んんっ、喉に詰まっ、
6:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:03:45.77 ID:Qz0ENqNrO
あの娘? そう言われて誰のことを言っているのかはすぐに分かった――翼だ。
その後、お母さんにたまには自分で起きなさい、とのお説教を背中に受けながら私は玄関を出て、そして家の前に広がったいつもと違う光景を目にする。
「翼、いないんだ」
7:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:04:55.52 ID:Qz0ENqNrO
「あっ翼? どうしたの、いつもの所にいないけど」
『いつもの……? あぁ。だってさ、毎朝一緒に事務所に行くなんて大変でしょ――恋人じゃないのに』
「えっ、恋人でしょ……あっ」
と即答しておいて、すぐに思い出す。
8:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:06:51.49 ID:Qz0ENqNrO
「ふへぇ……疲れたぁ」
ついつい床にへたり込んでしまう。ひんやりとした床の温度が、レッスン終わりの火照った体を冷やしてくれてどこか気持ち良い。
「遅刻したから追加で筋トレなんて、酷いよ」
9:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:07:39.66 ID:Qz0ENqNrO
「あれ、翼がいない?」
「翼なら、さっき……瑞希さんたちとどっか、行ったよ…………?」
「えー?」
衝撃の事実。私はすぐにスマホを取り出して翼に電話を――なんだろう、デジャなんとか? の感じがする。
10:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:08:11.39 ID:Qz0ENqNrO
「杏奈っ。一緒にお昼食べない?」
「えっ……」
えっ。
杏奈にしては珍しく嫌な顔を一瞬浮かべられて、思わぬショックを受ける。
11:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:08:46.44 ID:Qz0ENqNrO
…………やっぱり寂しいかも。
私は自分のお弁当に箸を伸ばしつつそんなことを思った。
最初は私も普通に会話に入っていけたけれど、気づいたら、ね。
「杏奈ちゃん。今日はあのダンジョン行こうよっ。クリアすると『暴風の魔将』っていう称号が手に入るんだって!」
12:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:09:15.34 ID:Qz0ENqNrO
「そう言えば未来」
「ふぇ?」
ぼーっと考え事をしていると、百合子ちゃんに話しかけられていた。相変わらず杏奈と密着しているのは流石って感じ。
13:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:10:21.98 ID:Qz0ENqNrO
「あれだよ。いつも同じ人と食べてると飽きちゃうっていうか……」
「でも杏奈は、百合子さんとのご飯…………全然飽きないよ……?」
「私もだよ杏奈ちゃーん!」
また杏奈を抱きしめる百合子ちゃん。満更でもなさげに、百合子ちゃんの頭を撫でる杏奈。
14:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:12:14.68 ID:Qz0ENqNrO
午後のレッスンも終わって、シャワーを浴びてスッキリ。
窓の外は橙色に染まっていて、いつもよりも長く感じた一日の終わりを告げているみたい。
取り出すのはスマホ。目を瞑ってても入力できるその数列を打ち込む。
待つこと数秒。
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