47: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:40:50.89 ID:r5zFZECu0
「あなたの笑顔と歌声に、とても美しい輝きを見つけたからです」
48: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:43:35.95 ID:r5zFZECu0
理由なんて、本当にシンプルだった。
どんなに手練手管を弄して、いくら着飾った言葉を使うよりも、思ったままに伝える方が良いと思った。
「そこに、なにも誤魔化すことのできない魅力を感じたからです」
49: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:44:40.99 ID:r5zFZECu0
「確証と呼べるものは、ありません」
自分の言葉を少しずつたしかめながら、ゆっくりと話す。
50: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:48:59.28 ID:r5zFZECu0
「とりわけあなたの歌は素晴らしい。本当に、本当に、僕は感動しました」
「人を幸せにする力が備わっていると、心の底から思います」
51: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:50:18.12 ID:r5zFZECu0
彼女は俯いてしまって、それから暫く言葉を返さなくなった。
首元のブローチが揺れている。
その姿はどうしてだか、祈っているようにも見えた。
52: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:50:55.75 ID:r5zFZECu0
それから数日が経過した朝のことだった。
53: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:52:09.93 ID:r5zFZECu0
デスクで資料をまとめていると内線がかかってきて、繋ぐとプロダクションの受付からだった。
なんでも僕と連絡を取りたいと話す人がきているらしい。誰とアポイントがあるわけでもなかった。
誰なんだろうと訝しんでいると、受付が言葉を続けた。
54: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:53:23.82 ID:r5zFZECu0
空いていた会議スペースをおさえて、そこに彼女を通した。
彼女からチェスターコートを預かる。彼女は品の良い薄桃色のブラウスを身に着けていた。
雪のように白い肌によく映えている。
55: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:54:53.10 ID:r5zFZECu0
「一つだけ、確認させてください」
「私がアイドルになったとして、誰かを幸せにすることは本当にできるのでしょうか?」
56: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:55:45.39 ID:r5zFZECu0
「僕は、あなたが輝くためだったら、なんだって協力します」
当時は、彼女のためにどうしてこんなにも行動できるのかが、我ながらうまく説明できなかった。
でも少し考えてみれば、それは当然のことだと気付けた。
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