橘ありす「あなたの瞳には」
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20:名無しNIPPER
2017/09/26(火) 08:57:10.15 ID:SjBa6GBgO
「特別扱い…しない」

「えぇ。私は、アイドルをやる前はモデルをしていたし、アイドルになってからも色々なお仕事をさせて頂いているから、沢山の人と出会うことができるのだけど、ほとんどの人はモデルやアイドルとしての高垣楓に会っている…。そう、みなさんが私を特別な存在として扱ってくれるの。それは、確かにとても嬉しいことなのだけれど…けど私は、いやだからこそ、アイドルである前にひとりの人間として、ひとりのなんでもない高垣楓として扱ってくれる人を特別に感じてしまう。これって、とても贅沢を言っているかしら。」

そう言って、楓さんは ふふっ と笑った。
さすがに次元が違ったなと思った。彼女は、もう充分すぎるほど特別だった。だからこそ、特別じゃないことを特別に感じた。わたしはどうだろう…わたしは、きっと逆。わたしは特別扱いしてほしい。アイドル橘ありすとしても、そして、ただの橘ありすとしても…

「プロデューサーさんは…どうですか」

「プロデューサーは、そうですね…。あの人は、きっと誰よりも私を特別扱いしてくれているんじゃないかしら。」

「誰よりも、ですか」

「そう、だってそれが彼のお仕事ですから。私を特別な存在として輝かせる仕事。彼のプロデュースがあってこそ、私も特別になれる。だからアイドル高垣楓でいるには彼が必要だし、彼にはその素材になる高垣楓という人間が必要。その関係は、もしかしたら友情や愛情とは違う…ちょっと特別なもの、かもしれないですね」

「友情や愛情とは違う、特別な…」

わたしの思いはどうだろう。友情?それとも愛情?どちらかと言えば、後者に近いだろうか。でも…

「ありすちゃんは、どうかしら」

「えっ。あ、えぇと…」

「ありすちゃんも、きっとプロデューサーさんのことを大切に思っているんじゃないかしら」


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