21:名無しNIPPER
2017/09/26(火) 08:57:47.61 ID:SjBa6GBgO
「それは…」
「だから、聞いたのかなって」
「…はい。わたしは、プロデューサーのことを…その…尊敬しています。それに、特別だと思っていて、大切に思っていて…それで…」
頭が混乱する。気持ちが言葉にならず、喉元でつかえてしまう。
「わたしは、特別扱い…してほしいなって思ってしまいます。えと……その、わたしはいままで、こんな風に思ったことはありませんでした。…けど、プロデューサーさんには、わたしを…そう、わたしだけ見ていてほしいし…その、知ってほしい…。頑張ったこと、辛かったこと、嬉しかったことも、全部…」
すぐに、自分がとても恥ずかしいことを言ってしまったと気付き、カッと顔が熱くなった。こんなこと、言うべきでなかった…後悔しながら、恐る恐る楓さんを見る。楓さんは微笑み、ゆっくりと頷いた。その頷きが何かを肯定したものなのか、意図は分からない。けれど、その優しさや温かさは確かに感じられるものだった。
「人の気持ちというのは、簡単には言葉にできないものだと、私は思います。その気持ちが大切なものであればあるほどに…。そして、言葉にして初めて分かることもある…。」
楓さんはわたしの瞳をじっと見つめ、黙った。まるでわたしの瞳の奥にある、心の中を覗き込まれているように感じてしまった。次になにを言われるのか…少し身構えてしまう。しかし、
「大切に育ててくださいね、その思い。」
そう言って彼女は、 ふふっと笑うだけだった。
そう、あなただけ特別…
そしてわたしのことも、特別に思ってくれたら…
この思いをもっと素直に言葉にできたら…
そう思うと歯がゆくもあるけれど、それをやるべきではないことも分かっている。
だって、わたしは…
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