71: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/10(火) 22:31:16.92 ID:HHwJzBVN0
「後はそう、"月見泥棒"と言う催しも」
その時、貴音が聞き慣れないことを言いだした。
……月見泥棒? お月見の夜に出る泥棒?
「ねぇねぇ教えて、気になるな!」
麗花も気持ちは同じみたい。自分たち二人にせがまれると、
貴音が解説の為にスッと人差し指を優雅に立てた。
「月見泥棒。それは月見の夜に限っては、お供え物を盗んでも良いとする子供に向けた風習です」
「えっと、お供え物って言ったら――」
「ススキ?」
「お酒とか」
「団子、芋、栗、柿、枝豆それに菓子類など。近隣住民へのおすそ分けに、遊び心を加えた催しかと」
なるほど、そういう風習もあるんだね。
意外や意外、妙な貴音の知識に感心しつつ自分はふちゃぎの乗ったお皿に手を伸ばして。
……でも、その時初めて気づいたんだ。
取り皿に避難させておいたはずの、自分のお団子がすっかり無くなっていたことに。
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