38: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/28(木) 22:36:49.52 ID:uAXr0QO10
「そりゃあジャンケンには負けたけど、さっきからアタシしか荷物持ってないじゃん!」
「そんなこと言ったってさぁ、めぐみ」
「ジャンケン勝たれへんのが悪いよな〜」
「だから! それでも! トモダチのよしみとか情けとか――」
「あっ! 見てみてなおー、あっちで蟹の唐揚げとか売ってるよ!」
「要チェックや! あっ、恵美の分もちゃあんと買って来たげるでっ♪」
「えっ、ホント? ありがとっ♪ ……って、違う違うちがーう!」
通りの先に気になる店を発見し、「それ、いちもくさーんっ!」と元気よく走り出す快食児。
その背中を見失わないように追いながら、恵美は「あぁ〜! もうもうもぉ〜っ!!」なんて嘆きの叫びを響かせる。
そんな物珍しい少女が前に前にと進むたび(なにせイマドキお洒落をした場違いギャルが、
お土産だらけの買い物袋を両手に下げてヘトヘトと道を歩いてるのだ)通行人が物珍し気に振り返る。
また、彼女のことが気になるのは歩いてる人たちだけではない。
通りに並んだ店先で、呼び込みをするおじちゃんおばちゃんまでが皆。
「よっ! そこのお姉ちゃんべっぴんだね!」
「おまけしたげるから寄っといでよ!」
「朝一獲れたて新鮮の、美味しい魚がたんとあるよ〜!」
といった調子で恵美が店の前を歩くたびに一声かけて行くのである。
もちろん、それは彼女の身なりや容姿が人目を惹くという理由もありはしたのだが、店側にはそれとは別にもう一つ大きな魂胆が。
それが何かと言うならば、恵美のようなスタイルの良い美少女が店先に立っているというそれだけで、
甘い花の香りに誘われ集まる虫のように他のお客が店頭へと吸い寄せられてくるためである。
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