310: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/10/17(水) 23:09:16.22 ID:1q/u2qOm0
そうしていると、突然、麗花が良いことを思いついたとでもいうように軽快に指を打ち鳴らした。
これは単なる余談であるが、彼女は指パッチンが異様に上手い。他にも草笛の達人奏者である。
一度、事務所に持って来られたテッポウエビと『指パッチン王者決定戦』なるイベントだって催して――おぉっと閑話休題。
「いけない! 私忘れてました。この衣装について、プロデューサーさんに教えなくちゃいけないことがあったんです」
麗花が真面目な顔でそう言うから、俺も鼻の下を戻して訊き返す。
「教えなくちゃって……。それが肩紐のことなんだろう?」
「あ、そっか。それもありましたね。……気づいてました? この衣装肩紐が無いんですよ?」
「知ってる。さっき説明してもらった」
「そうなんですか? プロデューサーさんは物知りなんですねっ♪」
「……で、肩紐以外の俺に教えたいことってのは?」
「ああ、そう、それなんです。実は――」
だがこの時、衣装室に予期せぬ来客が訪れた。
入ってきたのは見知った二人。
片方は、麗花が着ているバニースーツを一人で仕立てた美咲ちゃん。
事務員なのに衣装も作れる非常に頼もしい後輩で。
そうして別のもう一人は、麗花と共に仕事をする予定になっていた……。
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