275: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/30(月) 13:03:07.71 ID:DgOgOi+x0
スピーカーから紹介されたばかりの曲が流れだす。
高木はハンドルを握る指でリズムを取りながら、目に入ったスーパーの駐車場へと車を乗り入れ時計を見た。
オーディオのパネルに示された時刻は午後二時過ぎ。
寄り道するには十分過ぎるほどの余裕がある。
しばらくすると、両手に大きなビニール袋を持った高木がスーパーから姿を現した。
買い込んで来たのは多様な清涼飲料水と保冷目的のロックアイス。
それらを荷台に常備してあるクーラーボックスに仕舞ったら、
高木は再び車を発進させ、目的地に向かって飛ばす、飛ばす。
数分後、生憎の赤信号で足止めを喰らってしまった車内にて、
ラジオの少女がリスナーへのお別れの言葉を口にした。
「――お相手は萩原雪歩でした。来週もまた、この時間にラジオで会いましょうね」
===
受け取ったメッセージに「分かりました」と返信する。
少女はスマホをバッグに片付けると、変装用の帽子をキチンと被り直し、ラジオ局の玄関扉から外に出た。
そうして、その足で駐車場まで歩いて行き、目的の車を発見した彼女は後部座席へと乗り込んで。
「プロデューサー。お迎えありがとうございます」
「なんの、仕事だからね」
運転席で待っていた高木にお礼の言葉を一声かけ、少女は社用車の座席に腰を下ろす。
説明するまでも無いだろうが、彼女こそ、つい先ほどまで高木が聴いていたラジオに出ていた萩原雪歩その子だった。
高木も弄っていたスマホをポケットにしまい、駐車場から車を出す。
雪歩は車窓の景色を眺めながら、荷物を自分の膝に置き、ホッと安心した様子で息を吐くと。
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