171: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/01/27(土) 10:12:53.72 ID:Dt1Jf1hJo
===幕間
さて、嘘と言えばこんな話が一つある。
辺境都市の東側、要は治安の悪い貧民街の路地には恐ろしい魔物が棲んでいると。
出処は不明、数年前から突如流れ始めた噂だが、酔っ払ったろくでなし共の喧嘩を夜の子守歌に、
用水路に流れるドブの臭いを揺りかごにして育ったエドガーは「嘘っぱちだね」とこの噂話を笑い飛ばす。
「オレは生まれた時からココに住んでるけど、路地にはひったくりだの物乞いだの。
売りをやってる女だとか、のされた馬鹿にションベンかけてく野良犬とかさ。そーゆーヤツらしかいないって。
……なのに、そんな、人を襲う怪物? ハッ、くっだらねーや!」
しかし、独りごちる少年の足取りはおっかなびっくりとぎこちない。
時刻は深夜を過ぎた辺り。街には霧が立ち込めだし、視界もすこぶる悪かった。
染みと汚れが模様のようになって落ちないシャツ。
ズボンの裾は擦り切れており、ツギハギだらけの外套は夜風をちっとも遮らない。
穴の開いたポケットに両手を入れ、エドガーは路地という路地を早足に徘徊して回る。
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