ミリオンデイズ
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104: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/11/06(月) 02:32:20.76 ID:VPgwpRAe0

「私は……道具の手入れをしてますから」

「なら一旦止めて、手を止めて」

「でも――」

「……瑞希さんも、桃子の話なんてどうでもいいんだ」

反論二人を取りなさず。

泣きそうな顔で言われれば、流石に相談事を優先させねばならないぐらい瑞希にだって分かるもの。
持っていた布を手放して、両手はお行儀もよく膝の上へと移動した。

そうして瑞希は居住まい正し、背筋を伸ばし、体ごと桃子に向き直ると。

「では、続けてください。……聞く姿勢はご覧の通りバッチリだぞ」

この天晴れな瑞希の対応に、桃子の機嫌も幾分か上向きになったらしい。
彼女も頬杖から腕組みへと自分の姿勢を移行させ、

「あのね? 今朝からみんながなんていうか……。距離を取ってる感じなの。桃子と、長い間一緒にいたくないみたい」

「すぐにその場から離れて行ってしまうと?」

「うん。忙しい時期なら分かるけど、今日はその……みんな余裕はあるハズだし」

「余裕ですか」

「現に瑞希さんだって暇なんでしょ? さっきから見てたけど、ずっと手品道具を弄ってる」

言われ、瑞希が大げさに肩を強張らすジェスチャー。
ご丁寧にも「ギクリ」と擬音のサービスつき。

「そうですね。確かに暇と言われれば暇ではあります」

「でしょ? それに予想もつくんだよね、みんなが急に桃子に対して冷たくなったその理由」

「……一応、それはこちらから聞いた方がいいアレですか?」

「そうだね、聞いてくれると有難いな。……やっぱりその、こっちから言うのはなんか嫌」

そうして桃子に求められるままに、瑞希はコホンと咳払いを済ませると。

「では――周防さんは、お気づきになってしまったと」

「うん、お気づき気になっちゃった。……って言うか、これで気づかない方がバカだと思う」

桃子がやれやれと首を振り、恥ずかしそうにため息をつく。
その視線の先にあったのは、『HAPPY BIRTHDAY MOMOKO!』と書かれたホワイトボードなのであった。


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