105: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/11/06(月) 02:36:17.64 ID:VPgwpRAe0
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さて、"サプライズ"と頭につくからには、前もって誕生日を迎える本人に
「サプライズバースデーパーティー」なる催しを開くことがバレてしまっては一大事。
本来ならば計画に関わる全員は、細心の注意と気配りをもってこの秘密プランの情報漏洩を阻止する運びとなるハズだが……。
「こんな風にさ、堂々と書かれて置かれてちゃ気づくなって言う方に無理があると思うんだよね」
当の祝われる本人である桃子の前に、誰のうっかりか手違いか、その旨を記したサプライズボード
(桃子本人の似顔絵と、お祝いの寄せ書きが書かれたホワイトボードである)
がデンと置かれていたのなら、嫌でも悟ると言うものだ。
「おまけにみんな演技が下手。ボロを出さないようにしようって普段より妙に落ち着きない人ばっかりだし。
……ま、まぁみんながそうして抜けてるから、桃子も"何かあるな"って気づけたけど」
瑞希に向けてたどたどしく語る桃子の姿は、どこか嬉しさの中にホッとした気持ちも混ざってるように感じられた。
瑞希が口元に手をやって、思った疑問を言葉にする。
「まさかとは思いますが、周防さんは本当に自分が嫌われてしまったのではないかと疑って――」
「お、思って無い! 心配だってしてないし、不安になったりもしてないからっ!」
だがしかし、口数少ない瑞希は知っていた。
桃子が部屋にやって来た直後、彼女の暗い顔が一瞬ハッとした表情に切り替わり、
今度はすぐさま不機嫌さ全開になったことを。
それから先はこの部屋で、ゴキゲン斜めに不貞腐れ続けていたことも。
「だ、大体みんなが桃子のこと、急に嫌ったりするわけない……。ない、よね? も、桃子、別に悪いことなんてしてないし」
「さて、どうでしょう。それは皆さんに直接訊いてみなければ――」
「うぅ〜……、瑞希さんの意地悪!」
今度こそ取り繕うこともせず、真っ赤になって桃子が言う。
それは気を許した仲間相手にだけ見せる、年相応の遠慮なき照れ隠しの態度だった。
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