54: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/25(月) 19:38:31.33 ID:AUPcYDZ90
外に出ると、すでに豊音の後ろ姿は小さくなっていた。
私も歩調を速めるが、私と豊音では歩幅が違いすぎて、ただでさえ開いていた距離があっという間に広がっていく。
もうすぐ完全に日が落ちる。
グラウンドでは運動部の部員たちが後片付けを始めていた。
夜間照明もあるにはあるが、点灯のための費用を賄えないために、暗くなるまでが彼女たちの練習時間と決められている。
残念ながら宮守女子の運動部に全国出場を果たした部はなかった。
そのため、あの中に見知った三年生の生徒はいない。
私たちより一足先に引退して、あの子たちは今頃、それぞれ受験勉強なり就活の準備なりに励んでいる。
三年生が抜けたことで、グラウンドは一気に静かになった。
今朝方、進路指導のために登校していた元運動部のクラスメイトを見かけたが、私は声をかけなかった。
ついさきほどまでの、練習中の高揚に影が差す。
が、気づかないふりをして豊音のもとへと走る。
豊音は校舎を迂回して、裏手に走り去ってしまった。
胡桃「……」
この時点で、豊音の行き先には察しがついた。
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