53: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/25(月) 19:36:46.00 ID:AUPcYDZ90
塞「ええ? 胡桃も?」
胡桃「ごめん。私、進路指導の先生に呼ばれてたの忘れてた。帰りに指導室に顔だせって言われたんだった」
塞「そっか。じゃあ、三人で行こうか」
エイスリン「ハイ!」
シロ「……」
塞「それじゃあ二人とも、また明日」
胡桃「うん。明日。ばいばい」
豊音「おつかれさまー」
エイちゃんを間に挟み、並んで歩み去る三人を見送って、私は豊音を見上げた。
この薄暗がりでは、傍目にわかるような疲労の色は見えない。
本当にただ疲れているだけならそれでいい。
寮に帰る豊音を見送って、私も家に帰るだけだ。
しかしそれ以外の理由があって誘いを断ったのなら、豊音一人を置いて四人で出かけるのは嫌だった。
塞とシロがエイちゃんのケアに当たるなら、私は豊音の担当、といったところ。
豊音を見上げる。
胡桃「豊音、遅くなるかもしれないから、待ってなくていいからね」
豊音「うん。ばいばい」
下駄箱に引き返し、内履きに履き替える。
指導室に呼ばれたというのは、塞とシロの誘いを断るための嘘だ。
靴を履き替え、校内に戻るふりをして、少し下駄箱の影に隠れる。
別れを告げた豊音は、校門とは違う方向に小走りで駆けだした。
疲れているから早く帰りたい、あれはやはり、嘘だったみたい。
急いで靴を履き替え、豊音のあとを追う。
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