55: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/25(月) 19:39:27.26 ID:AUPcYDZ90
外履きのまま走っていくのだから、校内に用がないのは確か。
そして、学校の敷地内の屋外で、豊音が行きそうな場所となると、私にはひとつしか思い当たる場所がない。
私もスピードを上げ、豊音のあとを追う。
校舎の裏手に回り込んでみると、すでに豊音の姿は見えなくなっていた。
しかし豊音の行き先はわかっている。
慌てる必要はないが、それでも自然と早足になる。
そうして部室の裏手、校舎脇の植え込みのところに向かう。
案の定、豊音はそこにいた。
明かりの消えた校舎を背に、しゃがみ込んでもなお目立つ豊音の姿があった。
その足元に、暗がりに浮かぶ白い小さな塊も見える。
あの白猫だ。どうも、あの植え込みの中に腰を落ち着けていたらしい。
豊音「シロー、待っててくれたのー?」
「ウニャ」
声をかけようと近づいていくと、豊音はまたもひとりで猫に話しかけていた。
一瞬、なんでここでシロの名前が出てくるのかと首を傾げたが、すぐに「シロ」という名前が、私たちのよく知るあのシロではなく、目の前の白猫につけられたものだと気づく。
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