20: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:21:35.05 ID:qeoTwk+V0
おばあちゃんは口元に手を当てたまま、あんぐりしている。
男子は相変わらず金魚のようだ。
まゆはクラっときて、後ずさった。
そこで、タクシー乗り場の看板が目に入る。
「――おばあちゃん、この自転車、近くの駐輪場にしまってもらってもいいですか?」
「も、もちろん、ええけど……」
「私、タクシーで行きます!」
言うやいなや、まゆは自転車をおばあちゃんに任せて、タクシーに乗り込むべく駆け出した。
「て、てか、ばあちゃん、今のって」
やっとのことで言葉を絞り出した男子に応えることなく、おばあちゃんは「ごめんなぁ、ありがとうなぁ、ご恩は必ず」とまゆに声をかける。
タクシーのドアに手をかけながら、まゆはおばあちゃんとその隣の男子にウィンクを一つ贈り、そのままタクシーへと乗り込んだ。
男子はその姿を呆然と見送りながら、独り言をこぼす。
「――応援しよ」
まゆはタクシーの運転者に向かって勢いよくお願いをする。
いまだにアクション映画の主人公のままのようだ。
「あのバスを追ってください!」
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