21: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:22:24.30 ID:qeoTwk+V0
***
「追われてますよ! どんどん近づいてくるッ!」
プロデューサーもまた、全力で走っていた。
あの電話の後、すぐさま取材先に駆けつけたプロデューサーは、ほぼ同時に到着したサーカス団の支配人とともに、不埒な猿の気をひき、大切なアイドルおよび女性スタッフを引き離すことに成功した。
しかし、代償として今度はプロデューサー達が猿に追われる羽目になってしまった。
サーカスのテントがちらほら設置されている敷地内、上空の茜色もだいぶ紺色へと色を変えている。
猿は先ほどまでハーレム気分で上機嫌だった分、冴えない男に邪魔をされた恨みも凄まじく、完全に敵意むき出しで追ってくる。
「ウキャキャキャキャギャー!」
「さっきまでと雲泥の差だ! あんなに楽しそうに追いかけっこしてたじゃないか!?」
「おっ、コヤツがさっきは楽しんでいたこと、わかるのかね!? キミ、見どころあるよ」
一緒に走っている支配人が、場にそぐわない冗談を言うことに若干イラッとしつつ、プロデューサーは返答する。
「恐れ入りますっ! 今はシャレにならないぐらい、アイツが怒ってるのもわかりますよ!」
「おっ、流石だねぇ! 愉快、愉快」
「こんな時に、全然愉快じゃないですって! 他の飼育員さんとかは来ないんですか!?」
「みんな大物捕りで出払ってしまってね。そろそろ来る頃だが」
この支配人、丸い体型の割に軽々と余裕そうに走る。
プロデューサーは運動不足がたたり、今にも足がもつれそうだ。
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