22: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:23:08.79 ID:qeoTwk+V0
「「プロデューサーさん!」」
そのとき、雪乃と智絵里の呼ぶ声が聞こえた。
聞きなじみのある心地よい声だ、と彼は思った。
「おっ、可愛い声で少し気が緩んだかね、こんな時に」
「はぁ!? あなたほどじゃありませんッ!」
「ハハッ、愉快、愉快」
「今助けます、プロデューサーさん」
智絵里の声に続いて、ぞろぞろと屈強な男たちが集まってきた。
「ウキ!?」
猿の進行が止まる。
プロデューサーはぜぇぜぇと肩で息をしながら、智絵里や雪乃のいる方へと合流すると、彼女たちが連れてきた集団が猿を取り囲む。
サーカスの従業員、というよりは私設小隊の傭兵のような面構えである。
「さぁ、形勢逆転だ。諸君、コヤツは我が息子のお気に入りだ! お手柔らかに頼むよ」
先ほどまでと同じような飄々とした調子で、支配人はその小隊――もとい飼育員たちを指揮し始めた。
「ウキェエエッーー!」
不穏な空気を感じ取って、猿は大きな喚き声を上げた。
その迫力たるや、一介の猿とは思えず、多くの者がたじろいだ。
その一瞬の隙を突き、近くの積み荷、飼育員の頭、壁、屋外ダクト、天井と伝って、その姿を消した。
「逃がしたか。追え!」
小隊……ではなく、飼育員たちに指示をした後、支配人はつかつかとプロデューサーたちの方に歩みを進める。
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