63:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:38:07.88 ID:+EtVRVLso
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向日葵「それじゃ、行ってきますわ」
楓「行ってらっしゃいなの♪ あっ、ちゃんと帽子はかぶって行った方がいいの」
向日葵「ああそうですわね……楓、私の部屋に麦わら帽があるんですけど」
楓「待っててね、取ってくるの」とたとた
向日葵「ふふ、ありがとう」
楓は昨日、花子ちゃんが倒れたところに真っ先に駆けつけてくれたらしい。
裏庭の植木鉢の下に大室家の鍵が隠してあることもいつの間にか知っていて、倒れた花子ちゃんを親と一緒にいち早く看病してくれたそうな。
本当に……いつの間にか、こんなに立派に大きくなって。
楓「お待たせなのっ」
向日葵「ありがとう。じゃあまた夕方ごろに帰ってきますわ」
楓「はーい、行ってらっしゃい」
家を出ると、今日も絶好調の太陽がぎらぎらと照りつけていた。
こうして身近に倒れる人が出ると、とたんに暑さというものが恐ろしく思えてくる。今日は風があって体感は涼しいのだが、甘く見てはいけない。帽子をきちんとかぶり、目的地へと歩きだした。
大室家の前を通る。櫻子や花子ちゃんは中にいるのだろうが、今日の私の行き先はここではない。櫻子の部屋のあるあたりの窓を眺めながら前を素通りする。
向日葵(…………)
昨日、櫻子に言われたこと。
あのバレンタインデーの前日に偶然見かけてしまった女の子と、未だにきっぱりとは別れられていなかったこと。
涙をこぼしながら打ち明ける櫻子に、私は正直言って圧倒されてしまった。そして、ものすごく申し訳なくなってしまった。
あの子があんなにも思いつめていたのに……私はずっと気づかずに、あの子の隣にのほほんといただけだったなんて。
櫻子はべつに二股をかけていたわけでもないだろうに、私に頭を下げて謝り続けた。
複雑な気持ちが入り乱れた。怒るでも悲しむでもなく、櫻子の謝罪をどう受け取ればいいかわからなかった。
夏休みに入ってすぐの辺りで、花子ちゃんが “その人” の話をしていたことを、昨日になって思い出した。ただの友達だろうと思っていたけど、櫻子が尋常でなく焦っていた理由がようやくわかった。今になって思えば、なんともまあわかりやすいサインを出していたのに……なぜ私は気づけなかったのだろう。
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