櫻子「これからも一緒に」
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64:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:38:36.10 ID:+EtVRVLso
向日葵(どんな人だったのかしら……)


私がいない間、向こうの学校で櫻子と一緒にいた人。

バレンタインデーの前日に見た時は、櫻子のコートに顔をうずめてもたれかかっていたので、顔まではよくわからなかった。垂れ下がったサイドテールだけは思い出せる。花子ちゃんは「結構可愛かった」って言ってたっけ。

うつむきがちに考え事をしていると、急に後ろから強い風が吹いた。髪がふわりと浮きあがるのを感じて、慌てて頭を押さえたが間に合わず、麦わら帽子が前方に飛んで行ってしまった。


向日葵「ああっ……!」


帽子はつばをタイヤのようにして、ころころと転がっていってしまう。小走りで追いかけると、ちょうど曲がり角から現れた人が見つけて素早く捕まえてくれた。


「おっと!」

向日葵「あっ……」


軽やかな動きで、転がった帽子を掬うように拾ってくれた。私と同じくらいの年ごろの女の子だった。


「えへへ……どうぞ♪」

向日葵「ああ、どうもすみません……!」

「よかったですね、車とかこなくて。あぶないあぶない」

向日葵「助かりましたわ。どうもありがとうございます」ぺこっ

「わぁ……なんかお嬢様みたい……!」

向日葵「えっ?」

「あはは、ごめんなさい……ええと、似合ってますよ! その帽子♪」

向日葵「ど、どうも……///」


女の子はそれだけ言うと、「それじゃ」と言って、私の来た道の方へと歩いていった。


向日葵(このあたりじゃ、見かけない子ですわね……)


笑顔の可愛らしい顔が垢ぬけていて、夏らしい薄着がお洒落でよく似合っている。

セミロングのサイドテールが、風に吹かれてぱたぱたとなびいていた。


向日葵「…………」


てこてこっ♪

向日葵(あら……?)


ふと携帯に通知が届く。道端によけて、帽子を押さえながらもしやと思って開いてみると、吉川さんからのメッセージがきていた。


向日葵(もうすぐ、着きます……っと)てちてち


吉川さんと赤座さんのお家にお邪魔してみようと思い、不躾だが昨日の夜に突然アポをとった。すぐにこころよい返事がもらえて、今日は久しぶりに一人でのお出かけ。

吉川さんたちのお家の様子を見たいという気持ちも大きかったが……それよりも、個人的な相談のために向かうという意味合いが大きかった。

櫻子には、内緒で。


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